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歯周病で歯茎の色が気になる|変色する原因・治療方法を解説

歯周病で歯茎の色が気になる

歯周病は、歯にこびりついた歯垢が歯周病菌を増殖させることでおこる炎症性疾患です。歯の周りの歯茎が変色し、歯を支える骨が溶ける病気です。

歯と歯茎の歯周ポケットが深くなってしまい、そこに歯周病菌がたまってしまいます。腫れることはありますが痛みはほとんどないため、発見が遅れる場合があるのです。

歯周病は、歯茎の色が赤く変色します。健康な状態だときれいなピンク色をしているので見た目からも判断は可能です。 なぜ、歯茎は変色してしまうのでしょうか。

この記事では、歯周病で変色する歯茎の色や、変色する原因・治療方法を詳しく解説します。

歯周病で歯茎の色が気になる!

鏡を見る女性

歯周病の症状として、歯茎が変色する場合があります。これは歯周病菌が増殖したことで歯茎が赤く腫れるために起こります。

歯茎が赤くなるほか丸みを帯びて膨らむので、このような状態で歯磨きをすると歯茎から出血を起こすのです。

硬い食べ物を食べた時にも、歯茎への負担がかかり出血を起こす場合があるので歯茎から血が出た時は、すぐに歯科医院を受診して下さい。

自分の歯の状態を知るためには、歯磨き時に鏡で歯茎の状態をチェックしてみましょう。

歯茎が変色する原因は?

虫歯の相談をする患者

歯茎が変色する原因には、どのようなものがあるのでしょうか。一般的に原因とされるものを下記にまとめました。

  • 歯周病
  • 血行不良
  • 喫煙
  • 金属の被せ物による黒ずみ

それぞれの原因に関して、下記で詳しく解説します。

歯周病

歯周病では、歯垢や歯石が蓄積し細菌の影響によって変色が起こります。このような歯茎の変色も歯周病の症状の一つです。

歯周病は歯垢が歯の表面に付着し、歯磨きでの磨き残しなどがあると、歯周ポケットに歯垢が溜まり細菌が増殖することで発症します。

細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患ですが、歯茎が赤く腫れるものの痛みがないため、自覚症状が少ないといわれています。

進行すると赤く腫れた歯茎から膿が出てしまい、歯骨が溶けることで、歯が抜け落ちてしまう場合もあるのです。

磨き残しによって自分の歯を失ってしまうリスクのある疾患なので、注意が必要です。

血行不良

歯茎が変色してしまう原因として、血行不良があげられます。歯茎が血行不良を起こすと歯茎全体の色が白っぽく変色するのです。

血行不良を起こす原因は、貧血や喫煙などさまざまですが、血管を収縮させることであらわれる症状といわれています。

喫煙

喫煙も歯茎が変色する原因とされています。タバコの煙には化学物質が数千種類含まれており、ニコチンは発ガン性物質などの有害物質を含んでいます。

喫煙によって口臭がひどくなることもありますが、ヤニがつくと歯を変色させるだけでなく歯茎も変色させてしまうのです。

タバコの煙に含まれる一酸化炭素は、血管を細くするため血行を悪くします。歯茎への血流も悪くなるため変色がおきるのです。

歯周病にもかかりやすくなりますが、口腔内に与える影響は大きく、歯肉や腫れなどの症状が見た目以上に抑えられるため気づきにくくなるのです。

金属の被せ物による黒ずみ

歯茎の黒ずみは、さまざまな要因がありますが金属化合物の沈着もその要因の一つといわれています。

歯の詰め物や根の治療後の土台や被せ物として使用されている金属が酸化や腐食することで、歯茎に沈着してしまい黒ずんでしまうのです。

コンポジットレジンとよばれる樹脂の材料やセラミックで治療した場合、金属イオンが流れ出すことはありません。

金属の土台や被せ物は長期的に使用すると少しずつ金属が溶け出し、歯茎の黒ずみの原因となることを覚えておきましょう。

歯茎の変色の治療方法

指導をする歯科医師

歯茎の変色の治療方法は、原因によってさまざまです。喫煙・金属化合物の酸化による色素沈着のほか、歯周病の進行による変色などがあります。 要因に合わせた、治療方法を下記に記載します。

  • 歯磨き
  • マッサージ
  • 歯科医院でのクリーニング
  • ガムピーリング
  • 歯周病治療
  • 被せ物を非金属に変更する

上記の治療方法について、下記で詳しく解説します。

歯磨き

歯茎の血行不良によって変色した場合は、歯茎の血行をよくするために、歯磨きが非常に有効となります。

通常の歯磨きとあわせ、 歯茎を歯ブラシで軽くマッサージすると血管が広がり変色が改善されます。毛先のやわらかい歯ブラシで磨くようにして下さい。

毛先のかたい歯ブラシで強く磨いてしまうと、歯茎を傷めてしまい血が出てくることもありますので注意が必要です。

マッサージ

指導をする女性歯科医師

歯茎をマッサージすると、血行促進・口臭予防・歯周病予防・リラクゼーション効果などがあります。

歯茎をマッサージすると唾液の分泌が促され、口臭や歯周病の予防効果にもなるので定期的に実施するようにしましょう。

歯科医院でのクリーニング

治療をしてもらう患者

歯垢や歯石がこびり付くことで歯茎が変色することもあるため、歯科医院で定期的にクリーニングを受けましょう。

歯のクリーニング前に検査を実施して、歯周病が原因の場合は、保険適用になります。

自費で受けるクリーニングの場合は対応内容に制限がないため、歯石の除去以外に歯自体の着色も落とすことも可能なので、検討してみてはいかがでしょうか。

歯科医院によっては機器導入により、歯を傷めずに歯石除去を可能としているところもあります。

歯のクリーニングは、むし歯予防・歯周病予防に非常に効果的です。

ガムピーリング

ガムピーリングは、歯茎が変色してしまう原因となるメラニン色素を除去する治療方法です。

特殊な薬剤で、歯茎の表面を薄くはがし健康的できれいなピンク色の歯茎を取り戻すことができるのです。

治療の流れとしては、まず特殊な薬剤を色素沈着部分に塗布します。数日おくと薄い皮が自然とはがれてくるため、歯茎の変色が薄くなります。

メラニン色素が除去されることにより、健康的できれいなピンク色の歯茎を取り戻すことが可能です。

ガムピーリング実施後は、2週間を目途に歯科医院で状態チェックを受けましょう。

ただし、歯茎が変色する原因は喫煙・遺伝的要素・金属の沈着・歯周病などさまざまです。金属が沈着した場合、薬剤では除去できない場合があります。

ガムピーリングによる治療を希望される方は、事前に歯科医師に相談するようにしましょう。

歯周病治療

治療をする歯科医師歯周病が原因で歯茎が変色した場合、歯茎の移植を行う場合があります。歯周病になった原因の中で、歯ブラシができない形態の被せ物による影響で内部に歯周病菌がたまってしまい歯茎が変色するケースもあります。また、過度な歯磨きは、歯茎が赤く腫れたりしますので、自己流での磨き過ぎに注意して下さい。歯周病の治療として歯のクリーニングを行い、歯垢や歯石を取り除きましょう。歯のクリーニングを行うと、歯垢や歯石が除去され、次第に歯茎が引き締まり歯茎の変色も改善されるので効果的です。

被せ物を非金属に変更する

歯茎が変色した原因が金属の差し歯・土台によるものをメタルタトゥーと呼び、金属の成分によって歯茎が変色してしまう状態のことをいいます。

メタルタトゥーは、金属アレルギーなどを引き起こす原因にもなるので、メタルフリーの非金属に差し歯を差し替えるようにしましょう。

セラミックの歯は、自然な歯の白さと酷似しているので、他の歯ともなじみやすくなるため、検討してみるとよいでしょう。

歯茎の変色を予防する方法は?

相談をする女性患者

歯茎の変色を予防するための効果的な方法として、正しい歯磨きを心掛けるようにしましょう。

歯磨きで歯垢や歯石の蓄積を除去し、歯周病や歯槽膿漏の予防をはかることが非常に重要です。

歯磨きで取り切れない歯垢に関しては、歯間ブラシやフロスを併用して、歯と歯茎の健康を維持して下さい。

タバコは歯茎の健康を損なう恐れがあるため、喫煙を控えるか禁煙をすることで歯茎が変色するリスクを軽減できます。

定期的な歯科検診を受診して、早めに歯茎の異常を発見し、適切な対処を行って下さい。

変色以外に注意すべき歯茎の状態は

歯を確認する人

変色以外に、注意すべき歯茎の状態を確認するポイントを下記に記載します。

  • 歯磨きをすると出血する
  • 腫れがある
  • 以前より歯茎が下がった

上記の症状に関して、下記で詳しく解説していきます。

歯磨きをすると出血する

歯磨きで出血する場合は、歯肉炎や歯周病などの炎症によるものがほとんどです。炎症を起こした状態だと歯磨きのわずかな刺激でも出血が起こります。

出血する場合は、やわらかい毛先の歯ブラシで歯茎を傷つけないように歯磨きするようにして下さい。

歯茎から出血する原因となる歯垢や歯石を取り除くことが必要なので、出血する場所をやさしく丁寧に歯磨きしましょう。

セルフケアでは歯垢や歯石を取り切れない場合は、歯科医院で歯のクリーニングを行って下さい。

症状が出血だけで、痛みがないからといって放置すると歯周病が悪化してしまい、最終的には歯を失うことがあるのです。

腫れがある

腫れがある場合は、腫れている部分を頬の外から冷やしましょう。氷などで直接歯茎を冷やすと悪化する恐れがあるので避けて下さい。

腫れている部分に膿が見られる場合は、歯科医院で処置をしてもらいましょう。

膿が気になっても自身で患部を押して出すなどはしないで下さい。膿は再発する可能性が高く、細菌に感染することもあるので注意が必要です。

通院までの時間に痛みが強く出た場合は、鎮痛剤を飲むようにして下さい。市販の鎮痛剤でも痛みの軽減には有効です。

また、口腔内を清潔に保つことが重要となりますので、歯ブラシを当てると痛みがある場合、優しく歯ブラシを当てた後洗口液の使用を行ってください。

以前より歯茎が下がった

歯茎が下がると歯が長く見える場合があります。これは、歯が長くなったのではなく歯茎が下がった結果です。

このような症状は、歯肉退縮が進んでしまって起きますが、歯周病などが原因の可能性が高いため早めに歯科医院で診断をうけましょう。

歯周病以外で退縮が見られる場合は以下の要因があげられます。

  • 歯磨きの力が強すぎて歯茎を傷つけてしまっている
  • 歯並びの影響で噛み合わせが悪く、歯茎の負担となっている
  • 歯ぎしりが原因で歯茎へ負担がかかっている

上記のようにさまざまな要因があるため、歯茎下がりが見られた場合は自己判断せず歯科医師へ相談しましょう。

歯周病の症状があるなら早めに受診を

頬に手を当てる

歯周病の治療方法は、進行度合いによって対応方法が変わります。軽度・中等度・重度に分かれ、軽度であれば、正しい歯磨きを続ければ治ることもあります。

中等度まで進行してしまうと、歯周ポケットに歯垢が溜まり細菌が増殖するので丁寧に落とすための治療が必要となるでしょう。

また、重度の場合まで進行すると歯垢だけでなく歯周ポケットが深くなったことで、細菌が骨を溶かしてしまう症状が見られます。

このような症状の場合は、歯周ポケットを浅くする手術が必要となり、歯の固定や噛み合わせを整える治療を行います。

症状に応じて治療は異なりますが、早めに治療することが第一になりますので、心当たりのある方は早めに歯科医院を受診しましょう。

まとめ

まとめの画像

ここまで、歯周病で歯茎の色が変色する原因・治療方法などを解説してきました。

歯茎の変色の原因は、歯周病による場合が多いということがわかりました。

歯周病は、歯茎や歯を支える組織に影響を及ぼす慢性的な感染症です。歯周病が進行すると、歯茎の色が変わる場合があります。

歯周病により変色が起こる原因は下記になります。

  • 歯茎の炎症:歯垢と歯石が歯茎周囲に蓄積すると、歯茎が炎症を起こし、炎症によって歯茎が赤く腫れ変色する
  • タバコや喫煙:喫煙は歯周病のリスクを高め、歯茎の変色を引き起こす
  • 金属による着色:金属の土台や被せ物により金属イオンが溶け出し歯茎の変色を引き起こす
  • 健康状態:体の免疫力や健康状態によっても歯周病の進行や歯茎の変色が影響を受ける

歯周病の治療は、症状の進行度合いによって異なりますが、正しい歯磨きと定期的な歯科検診を受診して歯周病リスクの軽減が非常に重要です。

審美的には、歯の白さと歯並びが注目されがちですが、歯茎が変色していると印象が悪くなります。

笑った時に歯茎が変色していると、白い歯に対して目立ってしまうため、相手に与えるイメージも大きいのです。

歯の健康だけでなく、見た目でも歯周病による症状がダメージを与えてしまうため、早期治療で変色を抑えることが重要です。

進行した歯周病の場合、歯周組織再生手術などの外科的な処置が必要になるため、重度の症状に発展する前に予防しましょう。

健康的な歯で長く過ごすことは人生に楽しみを与えてくれるでしょう。

参考文献

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