ガムを噛むことで歯周病を予防することはできるのでしょうか。この記事では以下の内容を中心に解説していきます。
- 歯周病とガムの関係
- 歯周病予防に期待できるガムの効果
- 歯周病予防に効果的なガムの成分
歯周病予防にガムがおすすめな理由も解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
歯周病とガムの関係
歯周病の予防と治療には、口内環境の改善が重要です。その一環として、ガムを噛むことには口内を健康に保つ役割が期待できます。ガムを噛むことで唾液の分泌が促進され、口内環境が改善されます。特に、キシリトールやリカルデント(CPP-ACP)などの成分が含まれたガムは、むし歯予防を助ける働きがあります。
歯周病予防に期待できるガムの効果
ここでは歯周病予防に期待できるガムの効果を解説していきます。
唾液の分泌量が増える
ガムを噛むことで唾液の分泌が促進されます。この唾液の増加は口内環境を保つ上で重要な役割を果たします。唾液は食べ物の残りや酸を洗い流し、歯を細菌から守るために酸を中和します。さらに、唾液には消化を助ける酵素や歯の表面を保護するためのタンパク質が含まれており、歯周病の予防に寄与します。
歯周病によるアルツハイマー型認知症を防ぐ
歯周病を引き起こす細菌は毒素を出し、それが歯肉の炎症を引き起こします。これらの炎症物質、いわゆる「サイトカイン」は血液に運ばれ、脳に流れ込むと、脳内で「アミロイドβ」という「脳のゴミ」が増えることにつながります。これがアルツハイマー型認知症の大きな原因とされています。ガムを噛むことで歯周病を予防し、それによりアルツハイマー型認知症のリスクを減らす可能性があります。
歯周病予防にガムがおすすめな理由
ここでは歯周病にガムがおすすめな理由を解説していきます。
歯垢が取れやすくなる
ガムを噛むことで唾液の分泌が増え、その唾液が口内を洗浄する役割を果たします。この洗浄作用により、歯垢や食べかすが口内から取り除かれやすくなります。さらに、ガムを噛むことで口内が機械的に刺激され、歯垢が歯から剥がれやすくなる効果もあります。
細菌の増殖を抑制
ガムに含まれる成分や、ガムを噛むことで増える唾液には、細菌の増殖を抑制する作用があります。特に、キシリトールなどの成分は、むし歯菌の増殖を抑える効果があります。また、ガムを噛むことで口内のpH値が上昇し、細菌が増殖しにくい環境を作ることが可能です。
口内の酸化を防げる
ガムを噛むことで唾液の分泌が増え、その唾液が口内の酸化を防ぐ役割を果たします。唾液には、口内環境を中性に保つ能力があり、これにより酸性化を防ぎます。また、唾液に含まれるリゾチームという成分は抗菌作用があり、口内を清潔に保つことで酸化を防ぐ効果もあります。
歯周病予防に効果的とされるガムの成分
ここでは歯周病予防やむし歯予防によい成分を紹介します。ガムを選ぶ際に参考にしてください。
キシリトール
キシリトールは、自然に存在する糖アルコールで、その特性からガムによく使用されます。キシリトールは、口内の細菌が繁殖するのを防ぐ効果があり、特にむし歯の原因となる菌の増殖を抑制します。また、キシリトールは唾液の分泌を促進し、口内環境を整える役割も果たします。そのため、キシリトール入りのガムは、歯周病予防にもむし歯予防にもよい成分と言えます。
ポスカ(POs-Ca)
ポスカ(POs-Ca)は、リン酸化オリゴ糖カルシウムの略で、ガムに含まれる成分の一つです。この成分は唾液に溶けやすい特性を持ち、歯にカルシウムを供給する効果があります。カルシウムは歯の健康にとって重要なミネラルであり、その供給は歯の再石灰化を促進し、口内環境を整え、健康な歯を保ちます。ポスカは歯周病予防というよりむし歯予防に特化している成分と言えます。
リカルデント(CPP-ACP)
リカルデント(CPP-ACP)は、カゼインホスホペプチド-非結晶リン酸カルシウムの略で、ガムに含まれる成分の一つです。この成分は、カルシウムが歯に取り込まれやすい特性を持ち、歯の再石灰化を促進します。また、むし歯の原因となる酸が歯に付着するのを防ぐ効果もあります。ただし、牛乳由来の成分であるため、牛乳アレルギーの方は注意が必要です。リカルデントはポスカと同様、むし歯予防に特化している成分と言えます。
避けたほうがいいガムの成分
最後に避けた方がいいガムの成分を紹介します。
糖類が含まれたガム
ガムは長時間口の中に留まるため、糖類が歯や歯茎に接触する時間が長くなります。糖類が含まれたガムを頻回にかつ長時間噛んでいることで、口内環境が悪化する可能性があります。また、むし歯の発生を促進し、歯面を粗造にすることでプラークの停滞を招くことにつながります。そのため、歯周病予防の観点からは、糖類が含まれたガムの摂取は避けるべきです。
酸性の成分が含まれたガム
酸性の成分が含まれたガム、例えばクエン酸や果汁入りのガムは、酸により歯の表面のエナメル質が溶ける可能性があります。上記の内容と同様に、酸性の成分が含まれたガムを頻回にかつ長時間噛んでいることで、口内環境が悪化する可能性があります。むし歯の促進やプラークの停滞に繋がる恐れがあるため、酸性の成分が含まれたガムも避けるべきです。
まとめ
ここまで歯周病とガムの関係や予防に効果的とされるガムの成分について解説してきました。内容をまとめると以下の通りです。
- 「ガムを噛むようにすれば歯周病が予防できる」という訳ではない
- ガムはあくまで歯周病予防のために日常でできる補助的なことのひとつ
- 重要なのは歯科医院での定期的なメインテナンスと日々のブラッシング等のケア
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。