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歯周病

歯周病の原因を詳しく解説|症状や治療方法・メカニズム・予防方法もご紹介

歯科模型

今や生活習慣病ともされる歯周病。将来的に歯を失って食事がままならなくなるだけでなく、糖尿病や心臓病にも関わりがあるとされる恐ろしい病気です。

特に現代人は歯周病に増えているとされる歯周病ですが、一体何が原因なのでしょうか?

本記事では歯周病の原因や症状、予防方法まで徹底的に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

歯周病の原因

歯科模型

歯周病の原因には、以下の5点があるといわれています。

  • プラークの付着
  • 歯並びに問題がある
  • 口呼吸をしている
  • 生活習慣の乱れ
  • 喫煙している

1つずつ見ていきましょう。

プラークの付着

歯周病の最大の原因が、プラークの付着が放置されることです。

プラークとはブラッシングが十分でなかったり砂糖を過剰に摂取した際に口の中の細菌がつくり出す粘着性の物質のことです。

プラークの中には10億個もの細菌が含まれるともいわれています。

その中の歯周病原菌という歯周病の原因になる細菌が歯肉に炎症を起こし、歯を支える骨を溶かして最終的に歯を失わせてしまうのです。

しかもプラークが付着してから時間が経ち、歯石と呼ばれる状態になると、通常のブラッシングでは取り除けません。

歯科医院で取り除いてもらわない限り、歯周病を進行させていきます。

歯並びに問題がある

マウスピースを持つ人

まず歯並びに問題があると、プラークが付着しやすくなります。歯ブラシが届きづらい箇所があると通常のブラッシングでは取り除きにくいからです。

また、歯並びに問題があることで特定の歯に負担がかかり、歯周病が進行する場合があります。噛み合わせの負担によって歯茎が下がり、歯根が露出しやすくなるからです。

同様の理由で、歯ぎしりも歯周病の原因となります。

口呼吸をしている

口呼吸をすると口の中が乾燥します。

口の中が乾燥すれば自浄作用を持つ唾液の働きが低下するため、歯周病の原因となる細菌が活動的になり歯周病につながりやすくなります。

生活習慣の乱れ

生活習慣

歯周病は細菌による感染症ともいえます。

したがって生活習慣が乱れていると免疫機能が低下し、歯周病菌の影響を受けやすくなってしまいます。

特にバランスのとれた食事や十分な睡眠がとれていないと、疲労やストレスがたまって免疫機能への影響が大きくなります。

特にビタミンCビタミンEの不足には注意が必要です。

喫煙している

まず、喫煙者のほうが非喫煙者よりも歯周病になりやすいというデータがあります。

その理由はタバコに含まれる化学物質が出血を抑えて歯肉炎に気づきにくくすること、血行を悪化させて炎症を治しづらくすることです。

また、タバコには免疫機能の向上に欠かせないビタミンCを破壊してしまうという報告もあります。

歯周病の症状

頬に手を当てる女性

自覚がないままに進行するといわれる歯周病ですが、実は進行の段階によって異なる症状が見られます。

その症状を知っておくことで早期の対策が可能になりますので、ぜひ本記事で確認しておいてください。

歯周病の初期症状

歯周病の初期症状は、歯肉炎とも呼ばれます。歯と歯茎の間が腫れて盛り上がり、時には出血することもあります。

歯茎が腫れていると感じたり、ブラッシングの際に頻繁に出血することがあれば、歯周病の初期段階に該当する可能性があるので注意しましょう。

他にも、歯茎がむずがゆく感じる方もいらっしゃいます。

ただ、この段階で治療を始めれば、プラークを取り除くなどの簡単な治療で健康な歯を取り戻すことが可能です。

気になる症状があれば、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。

中度の歯周病の症状

眉をしかめる男性

はっきりとした自覚症状が現れるのはこの頃です。

中度まで歯周病が進行すると歯を支えている骨が3分の1から半分ほど溶け始め歯がグラグラするような感じがして硬いものを噛みにくくなります。

また、歯と歯肉の間から膿が出ることで口臭が気になり始めるとともに、歯茎が下がって歯が長くなったように感じられます。

この状態になると毎日丁寧なブラッシングを行うことは当然として、症状によってはプラークの除去だけでなく外科手術が必要です。

手術となると体や金銭面での負担も大きくなってしまいます。

重度の歯周病の症状

重度の歯周病にまで進行すると、歯を支える骨がさらに溶け、3分の2ほど溶けた状態になります。

歯根に付いた歯石で歯周ポケットはさらに深くなり、柔らかいものであっても歯がぐらついてかなり食べづらい状態です。

また、朝起きた時の口の中のねばつきもひどく、血の味がしたり膿が出ていることもあります。

この段階になると口臭もきつくなるので、周囲から指摘されることもあるでしょう。

歯周病の治療方法

デンタルケア

歯周病には、大きく分けて以下の3点の治療法があります。

  • 基本治療
  • 外科治療
  • 再生療法

1つずつ確認していきましょう。

基本治療

歯ブラシ

歯周病の進行度合いにかかわらず、共通して行われる治療のことです。

主に「プラークコントロール」「スケーリング」「噛み合わせの調整」で構成されています。

「プラークコントロール」とは、まだそれほど時間が経過しておらず歯石になっていないプラークを除去することです。

したがって、自宅でのブラッシングでも対応できます。

もちろん歯科医院でもブラッシングの指導をしているため、積極的に活用しましょう。

「スケーリング」では歯の表面に付着したプラークや歯石を器械を使って取り除き、なめらかに仕上げていきます。

特にプラークの細菌に汚染された歯根の表面を器具を使ってなめらかにすることは「ルートプレーニング」といい、歯周病の治療では重要な工程です。

歯周病は歯と歯茎の境目から付着し始めたプラークが歯石となって歯周ポケットをつくっていることによるものなので、その根本的な解決策になります。

また歯と歯根表面をなめらかに保つことで歯肉が付着しやすくなり、歯周ポケットの解消が早まるメリットがあります。

こうしたケアはご自身で行うことは難しいため、特に歯科医院の手を借りるメリットとなる部分といえます。

「噛み合わせの調整」は、中度以上の歯周病で歯がぐらついている場合に行われます。

ぐらついている歯で噛むことによって噛み合わせが悪くなり、特定の歯に負担がかかってしまうからです。

過剰に負担がかかれば歯周病をさらに悪化させてしまいますから、歯を削ったりして調整していきます。

それでも食事が摂りづらい場合は歯科用の接着剤で隣の歯と接着し、固定することでぐらつきを解消する方法を取ることも可能です。

こちらも早い段階から歯科医院の力を借りることで可能になる治療です。

外科治療

基本治療の後に検討されるのが外科治療です。主に基本治療だけでは解消されなかった歯周ポケットの改善のために行われます。

1つの目安としては、基本治療の後も歯周ポケットが4㎜以上の場合に検討されることが多いです。

その方法としては、まず麻酔をかけて該当する箇所の歯肉を切開し、スケーリングやルートプレーニングでプラークや歯石を取り除きます。

その後は必要に応じて歯肉を縫い合わせ、おおよそ1~2週間後に抜糸をして終了です。

治療する歯の本数によっても異なりますが、通常1ヶ月から数ヶ月で治療が完了します。

外科手術のメリットとしては、いったん歯肉を切り開いて直接歯周ポケットの中の状態をプロの目で確認できることです。

これにより歯周病の原因となっているプラークや歯石を完全に取り除くことができます。

ただ、この治療はあくまでも歯周病の進行を食い止めるもので、すでに破壊された歯肉や骨などの歯周組織を再生することはできません。

すでにダメージを受けてしまった歯周組織を治療するためには、次にご紹介する「再生療法」を検討していくことになります。

再生療法

歯周組織の再生を望む場合、この再生療法を選択します。

本人の年齢や体力、免疫力に左右されるものの、2年ほどで歯肉の回復・失った歯槽骨回復が期待できます。

現在は保険適用になる再生療法もあるため、より多くの方が歯周病の治療の選択肢として考えられるようになりました。

ただ、再生療法を検討する際には精密な検査を受け、再生療法が適応すると判断がされなければなりません。

適応がなければ治療の効果が見込めないため、どなたでも利用できる治療法でないことは覚えておいてください。

また、治療期間中はより一層プラークコントロールへの努力が必要になります。

毎日のブラッシングはもちろん、デンタルフロスや歯間ブラシも使用します。そして歯科医師の指示に従い、定期的な歯科医院でのメンテナンスを欠かさないようにしましょう。

歯周病のメカニズム

解説

これまでお伝えしてきた通り、歯周病は歯周病原菌という細菌感染によって起きるものです。

不十分なブラッシングを続けていると、歯と歯茎の間にプラークが増え、歯肉炎が起きてしまいます。

この段階で十分な治療ができればよいのですが、生活に支障があるわけではないので放置されてしまうことも多いのが実情です。

ここからさらに歯周病が進行すると歯肉の腫れがますますひどくなり、歯根と歯肉の間が広がることによって歯周ポケットが深くなっていきます。

この歯周ポケットが深くなればなるほどプラークだけでなく歯石もたまりやすい状態になるため、歯周病の進行はさらに早まることになります。

こうして歯周病原菌を含んだ歯石が少しずつ歯周ポケットの奥深くまで到達することで歯槽骨まで影響し、歯を支えるはずの骨を溶かしていくのです。
この状態になると歯茎が下がったり、歯のぐらつきを感じるようになります。

この段階まで進行してしまうと食事をすることがかなり困難な状態です。ぜひその前に、歯周病にならないための方法を知っておきましょう。

歯周病を予防する方法

歯科衛生士

歯周病を予防する効果的な方法は、これまでお伝えした歯周病の原因を解消することです。つまり、次の3点になります。

  • 適切なプラークコントロールを行う
  • 歯並びの問題に対処する
  • 生活習慣を整える

これらを1つずつ実践していくことで歯周病から歯を守れる可能性が高まるため、最後までよく読んで覚えておくようにしてください。

何度もお伝えしているように、歯周病は歯に付着したプラークが放置されるところから始まります。ですから、まず1番に大切になるのは毎日のブラッシングです。

ぜひ鏡を見て、歯ブラシの毛先が届いているところを確認しましょう。できるだけ細かい動きで力を入れずにブラシを動かします。

歯周病の原因となるプラークは粘着性があるので、数回歯ブラシを当てただけでは取り除けません。1箇所につき10回から20回はやさしく細かくブラッシングするのが理想的です。

特に歯と歯茎の境目や歯の間はプラークが付着しやすい場所ですので、歯ブラシだけでなくデンタルフロス歯間ブラシも使用しましょう。

また、歯並びの問題も毎日のブラッシングで解消される部分があります。

噛み合わせに問題がある場合は歯科医院での調整が必要ですが、歯並びが問題視されるのはブラッシングの際に歯ブラシが届きづらい箇所があることが理由です。

ですから、自分の歯並びを考慮したブラッシングを行うことで解消されます。

歯科矯正で歯並び自体を整えても良いのですが、ブラッシングのほうがより早く簡単に実践できるはずです。

また、歯並びに問題があるかにかかわらず、ワンシーズンに1回は歯科医院でのクリーニングをおすすめします。

自宅でのブラッシングやデンタルフロスでのケアにとどまらず、歯科医院では専用の器具や器械でケアを行っているからです。

歯科医院に行けばプラークや歯石を効果的に除去できることはもちろん、むし歯など歯周病以外の問題の早期発見にもつながります。

最後は生活習慣です。バランスの取れた食事を摂ることはもちろん、疲労がたまりがちな現代人は十分な睡眠と休養を取ることが不可欠です。

また、ストレスも免疫機能を低下させる大きな原因なので、体を動かしたり、趣味に没頭する時間をつくるなどして適度に発散するようにしてください。

特に喫煙は、できるだけやめることをおすすめします。実は禁煙するだけで歯周病リスクが40%も減少するというデータもあります。

また万が一歯周病になってしまったとしても、禁煙によって血行が改善され、治療の効果が出やすくなると報告されています。

喫煙は他の病気にも悪影響を与えるものなので、できるだけ禁煙することが望ましいでしょう。

まとめ

白い歯

「普段はなんとなくブラッシングだけしている」方も多いのではないでしょうか?

実はそれこそが歯周病を引き起こす原因だとしたら、今後は疎かにできないはずです。

歯周病は糖尿病や心疾患などの重大な病にもかかわる可能性があるため、不安を感じた方も多いでしょう。

ですが、歯周病の予防は何もご自身だけで取り組まねばならないことではありません。

ぜひ歯科医院でプロの力を借り、ご自分の生活習慣や歯の状態に合わせたケアを行いましょう。

この記事を読んでいただいたことをきっかけに、ご自身の歯を歯周病の原因から守る行動を実践していきましょう。

参考文献

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