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歯周病

歯周病が引き起こす全身疾患を詳しく解説|歯周病の治療方法や予防方法もご紹介します

歯科医

皆さんは歯周病に関してどのくらい知っていますか。

歯周病は痛みがないからといって放置されがちな病気ですが、早めに対処をすることで簡単に治せるのです。

また、歯周病は全身にも影響を与えるといわれており、様々な病気を引き起こします。

例えば、脳梗塞・心筋梗塞・糖尿病なども歯周病と密接な関係にあることが報告されているのです。

このような歯周病を予防するためには、普段の歯磨きをしっかりすること・生活習慣を見直すことなどが必要になります。

また、定期的な歯科検診も重要で専門家による歯のメンテナンスを受けることも大切です。

この記事では、歯周病が引き起こす全身疾患・歯周病の治療方法・予防方法・原因・症状を解説します。

気になる症状がある方は、早めにお近くの医療機関への相談がおすすめです。

全身疾患

医師

歯周病と深い関わりがあることがわかっている全身疾患は下記の8つになります。

  • 脳梗塞
  • 狭心症や心筋梗塞
  • 誤嚥性肺炎
  • 糖尿病
  • メタボリックシンドローム
  • バージャー病
  • 骨粗鬆症
  • 妊娠中の影響

これらの病気は、一見歯周病とは全く関係ないように思えるかも知れませんが、近年の研究で関連性があることが解っています。

歯周病の原因となる歯周病菌が血液中に入り、炎症が起こることによって様々な病気になりやすくなることが報告されているのです。

この章では、これらの歯周病にかかわる8つの全身疾患について詳しく解説します。

脳梗塞

一見脳梗塞と歯周病は関係がないように思えます。しかし、歯周病にかかっている人は、そうでない人に比べて2.8倍も脳梗塞にかかるリスクが高いといわれているのです。

脳梗塞とは、脳出血やくも膜下出血などの脳血管障害の一つで、血の塊などが脳に詰まって脳が壊死してしまう病気です。

このような脳梗塞を起こす原因の一つに歯周病菌が関係しているといわれています。歯周病菌が血液の中に入り込むことによって、血液の凝固を起こします。

そして、凝固した血液が脳まで到達し、血管に詰まってしまうことがあります。すると、場合によっては脳が壊死してしまい、脳梗塞を発症してしまうのです。

歯周病菌を血液中に入れないためには、歯周病を予防する必要があります。

歯周病が原因で、このような全身疾患にならないためにも、日頃からの歯周病ケアが必要になるのです。

狭心症・心筋梗塞

胸に手を当てる男性

狭心症心筋梗塞はともに、成人に多い心臓病といわれています。

狭心症は心臓に栄養を送る冠動脈の流れが悪くなる状態、心筋梗塞は狭心症が悪化し心臓の筋肉の壊死にまで達した状態です。

これらの病気と歯周病も一見関係ないように思えます。

しかし、歯周病が進行すると歯周病菌の一部が口腔内の傷から血液中に入りこみ、血管壁を傷つけたり、血小板に異常を来して血栓ができやすくなったりします。

それによって、狭心症や心筋梗塞が引き起こされてしまうこともあるのです。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは、食べ物が誤って気管や肺に入ってしまうことによって発症する肺炎です。

高齢になって飲み込む力が衰えると食べ物と一緒に細菌も気管の中に入ってしまい、感染してしまいます。

そのような細菌は、歯周病が原因で増殖したものが大半を占めているのです。

つまり、歯周病予防をすることによって、誤嚥性肺炎の発症のリスクも下げることができます。

このことからも日頃の歯周病ケアが重要なことがわかるでしょう。

糖尿病

健康診断通知

糖尿病の合併症の一つに歯周病があるといわれています。また、歯周病の治療をすると、糖尿病の症状を改善することもわかっています。

なぜ、これほど歯周病と糖尿病に関連があるのかというと、歯周病の死骸が持っている内毒素が原因なのです。

この内毒素が血液中に増えると、糖の取り込みを抑えてしまうので糖尿病の症状が悪化します。

歯周菌自体の数を減らしてしまえば、内毒素の数も減るので糖尿病の症状が改善するというわけです。

そのため、糖尿病の症状を抑えるためには歯周病への対策も必要になります。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームとは、過度の内臓脂肪の蓄積、高血圧、高血糖などの症状が見られる状態をいいます。

メタボリックシンドロームと診断されると、血圧や血糖値などの数値が正常でも、脳卒中心筋梗塞にかかりやすくなります。

このようなメタボリックシンドロームと歯周病の関係は、まだ正確には解明されていません。

しかし、歯周病菌によって糖の取り込みに影響が出て太りやすくなったり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上がったりします。

こういった点で、メタボリックシンドロームと歯周病は非常に深い結び付きがあるといえます。

そのため、メタボリックシンドロームと診断された方は、歯周病の治療も同時に進めていく必要があるのです。

バージャー病

バージャー病とは、手足の血管が何らかの原因によって詰まってしまい、場合によっては壊死を引き起こし、切断を余儀なくされてしまう病気です。

タバコを吸う20代~40代の男性に多いといわれています。このバージャー病と歯周病も深い繋がりがあるのです。

これまで明確な因果関係はわかっていませんでしたが、東京医科歯科大学の研究で次のようなことがわかったのです。

研究のため、バージャー病の患者14人を調べたところ、患者全員が中等度~重度の歯周病でした。

さらに、患部から取り出した血液から、歯周病菌が検出されたのです。一方、正常な部位の血液からは、歯周病菌は全く検出されませんでした。

つまり、この研究によってバージャー病の原因や悪化に歯周病菌が深く関わっている可能性が高いことがわかります。

まだ明確な因果関係は解明されていませんが、歯周病菌によってバージャー病が引き起こされていることも考えられるのです。

骨粗しょう症

中高年の女性

骨粗鬆症とは、高齢の女性に多い病気で、全身の骨が脆くなって骨折しやすくなるといった症状が見られます。

女性ホルモンであるエストロゲンが骨代謝にも深く関わっているため、閉経後の女性は骨粗鬆症になりやすいといわれています。

また、エストロゲンの減少で骨粗鬆症だけでなく、歯周病にもかかりやすくなってしまうのです。

そのため、骨粗鬆症と診断された方は、歯周病にもかかりやすくなっているので、注意が必要になります。

出産への影響

妊娠中の女性は、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンの影響で歯周病になりやすいといわれています。

エストロゲンが増えるとある特定の歯周病の働きを活発化させるのと、歯肉を作る細胞がエストロゲンによって減ってしまうのです。

プロゲステロンは、プロスタグランジンというホルモンを刺激し、炎症を起こしやすくします。

これによって、妊娠前は歯周病になったことのない人でも、歯周病になりやすくなります。

これらのホルモンが妊娠中期〜後期にかけて約10〜30倍になるので、普段よりも歯周病のリスクが高くなってしまうのです。

また、妊娠中の女性が歯周病になってしまうと、お腹の赤ちゃんの早産低出生体重児の可能性も上がります。

これは、母親の血管から胎盤を通して歯周病菌が感染することが原因と考えられています。

そのため、妊娠中の女性は歯周病の治療を行ったり、日頃の歯磨きを見直したりする必要があるでしょう。

歯周病の治療方法

歯科治療具

歯周病の治療は、歯周基本治療が主になります。具体的な内容は、普段の歯磨きを見直すセルフブラッシングと、歯垢や歯石除去などのプロフェッショナルケアの2つです。

これら2つの治療を患者の状態に合わせて行うことにより、歯周病の改善を目指します。

症状が軽い場合は、歯石や汚れを落とす基本治療のみで歯周病の改善が期待できますが、深い歯周ポケットが残存し、改善が見込めない場合は、歯周外科治療も行います。

歯周外科治療には、汚れが溜まりやすい歯周ポケットを浅くする手術や、歯周病によって失われた、歯を支える骨を再生させる手術が行われます。

このように、セルフブラッシングとプロフェッショナルケアに加えて、歯周外科治療を状況によって使い分けながら歯周病の治療を進めていくのです。

歯周病の予防方法

歯の模型

この章では、明日からでもできる3つの歯周病予防方法を解説します。

これから紹介することを意識して、行動を変えると歯周病を防げるので是非実践してみてください。

歯磨きをしっかりする

歯周病の予防には、毎食後にしっかり歯磨きを行うことが効果的です。磨き方のポイントは下記の通りになります。

  • 歯ブラシの毛先を磨きたいポイントに当てる
  • 部位に合わせた動かし方で磨く
  • 力の入れすぎで歯茎を傷つけないようにする
  • 1箇所につき20回は擦る

まず、歯ブラシの毛先が狙ったポイントに当たっているかを注意します。次に、歯の表・裏・歯茎との境目など、形に合わせて歯ブラシを動かしましょう。

このときに、しっかり磨こうと力を入れすぎてしまうと、歯茎を傷つけてしまうことがあります。適度な力加減で、優しく磨くようにしましょう。

そして、ネバネバしたプラークをきれいに落とすために、一部位につき20回は擦ることも大切です。

これらのポイントを守って歯磨きをすると歯周病の予防ができます。みなさんも、日頃の歯磨きを見直してみてください。

生活習慣を見直す

タバコを吸う男性

歯周病を予防するためには、食事・睡眠・運動などの生活習慣を見直す必要があります。身体を健康に保つことが歯を強く丈夫にすることにも繋がります。

他に、タバコを吸うことは、歯周病を悪化させる原因になるので注意が必要です。

喫煙者は口の臭いやヤニによる歯の黒ずみといった美容上の問題だけではなく、歯周病へのかかりやすさや、悪化のしやすさも問題視されています。

さらに、喫煙者が歯周病の治療をしても吸わない人に比べて、治りにくいことが解っています。

また、禁煙をするだけで、歯周病だけでなく他の生活習慣病のリスクを下げられるのです。

このようなことから、歯周病を予防するためには、日頃の生活と喫煙の習慣を見直す必要があるでしょう。

歯科で定期検診を受ける

歯周病予防のために、歯医者で定期的に検診を受けましょう。治療が終了してから3ヶ月〜6ヶ月ごとの定期検診が推奨されています。

なぜなら、日頃の歯ブラシで落としきれない歯垢は、歯石となって口の中に留まってしまうからです。

このような状態を放置しておくと、歯周病が再発したり、悪化したりしてしまいます。

歯周病の再発や悪化を防ぐためにも、定期的に専門家によるメンテナンスを行い、お口の健康状態を維持する必要があるのです。

歯周病の原因

歯ブラシ

歯周病とは、歯垢の蓄積によって細菌感染が起こり、炎症によって歯茎が腫れたり、歯を支える骨が溶けてしまう病気です。

細菌感染といわれると、外部からのものかと思いきや、実はこの細菌は元々お口の中にいるものになります。

お口の常在菌の種類は約400〜700もあり、日頃から清潔にしていれば悪影響はありません。

しかし、普段の歯磨きが不十分で歯に歯垢が溜まったり、喫煙や暴飲暴食などの生活習慣の乱れが口内に影響を及ぼします。

歯垢の溜まったところに細菌が繁殖し、ネバネバした物質を作り出します。

このようなネバネバしたものはプラークといい、歯の表面にくっついてむし歯や歯周病をひき起こすのです。

痛みがないからと放置して歯周病が進行してしまうと、場合によっては歯を抜かなくてはいけなくなります。

歯周病の症状

診察する医師

歯周病の初期には痛みが出ません。そのため、悪化するまで放置してしまい、治療をする頃には完治が難しくなってしまうのです。

では、歯周病の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。歯周病の主な症状は、下記の8点が挙げられます。

  • 口臭が気になる
  • 朝起きたときに口の中がネバネバする
  • 歯みがきのときに血が出る
  • 歯肉が腫れている
  • 歯肉が痩せて歯が長くなった気がする
  • 歯肉を押すと血や膿が出てくる
  • 歯と歯の間に物が詰まりやすい
  • 歯が揺れている気がする

歯を磨いたはずなのに、口臭が気になったり、翌朝口のネバつきが気になったりする場合は歯周病の疑いがあります。

他に、歯を磨いたときに血が出る・歯茎の腫れが気になる・物が詰まりやすくなった場合は、歯周病が進行している可能性があるのです。

また、鏡で自分の歯の状態を見てみたときに、歯茎が痩せて歯が長くなったように見えたり、腫れを押すと血や膿が出たりする場合も注意が必要です。

これらの症状がある場合は、痛みが無くても早めに歯医者への受診をおすすめします。

まとめ

看護師

ここまで、歯周病が引き起こす全身疾患について、歯周病の治療方法・予防方法・原因・症状について解説しました。

歯周病は日頃の歯磨きを丁寧に行うことで防げる病気です。

痛みがないので歯医者へ行くのが難しい場合もありますが、気になる症状がある方はなるべく早めに検診を受けましょう。

また、普段からタバコを吸う方は禁煙をするだけでも、歯周病にかかりにくくなるため喫煙の習慣を見直してみるのもおすすめです。

あなたの大切な歯を長く守るために、日頃からメンテナンスを続けていきましょう。

参考文献

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