20代でも歯周病になるのでしょうか?本記事では20代の歯周病について以下の点を中心にご紹介します。
- 歯周病とは?
- 20代でも歯周病になるのか
- 歯周病の原因や予防法について
20代の歯周病について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
そもそも歯周病とは?
歯周病は、歯肉(歯茎)に炎症が起こる病気です。通常、健康な歯と歯肉の間には汚れが入る隙間はほとんどありません。しかし、不適切な口腔ケアや磨き残しによって口の中に汚れが溜まり、歯垢(プラーク)が歯と歯肉の間に形成されます。 歯垢が長期間溜まると、細菌が増殖し、歯肉に炎症を引き起こす原因となります。初期段階では歯肉が腫れたり出血したりする軽度の歯肉炎から始まりますが、進行すると歯周組織へのダメージが拡大し、歯を支える歯槽骨が溶けることがあります。
20代で歯周病になる確率
20代の歯周病については、20代の約4人にひとりがかかっているといわれています。この年代では、歯周病は虫歯と並んで歯を失う最も主要な原因となっています。歯周病は、歯茎に炎症が起こり、歯を支える組織である歯槽骨が徐々に溶けてしまう病気です。 歯周病は進行がゆっくりであり、20〜30年といった長い年月をかけて進展することもあります。そのため、若い時期から意識して口腔ケアを行い、歯周病の予防をすることが重要です。特に、20代のうちから口元美容に興味を持ち、歯のホワイトニングや矯正治療などを行う人も増えていますが、これらの美容ケアを通じて口腔ケアへのモチベーションが高まるといわれています。 歯周病が放置されると、口臭や歯茎下がりといった問題が生じるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠中は特に口元のお手入れがおろそかになりやすく、歯茎の腫れが起こることもあるため、しっかりとした口腔ケアと定期的な歯科検診を行うことが重要です。
歯周病になる原因
なぜ歯周病になってしまうのでしょうか?歯周病の原因について解説します。
歯垢を除去できていない
歯周病は口内細菌による炎症が原因で引き起こされる病気です。歯垢(プラーク)は生きた細菌の塊であり、口内細菌が歯と歯ぐきのすき間に潜んでいます。歯垢が取れていないと、口内細菌による炎症が発生し、歯周病が発症する可能性が高まります。 歯垢は特に歯と歯ぐきの接触部分や歯と歯との間に溜まりやすく、歯磨きが不十分な場合や歯磨きのやり方が正確でない場合には、歯垢が残りやすくなります。
歯周病の直接的な原因は歯垢(プラーク)であり、この中の細菌が出す毒素によって歯ぐきに炎症が起きてしまいます。歯周病を引き起こす細菌のほとんどは酸素の少ない場所を好むため、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきのすき間に潜んでしまいます。
口内環境が良くない
歯周病の原因の一つに口内環境の悪化が挙げられます。口内が乾燥していると、唾液が少なくなり、歯周病になりやすくなります。また、歯並びが悪いと歯磨きがしにくく、歯ブラシの届かないところに歯垢が残りやすくなります。 口内環境は、個人の癖や生活習慣によって大きく影響されます。乾燥を防ぐために適切な水分摂取や唾液の分泌を促す食べ物を摂取するなど、日常の生活習慣を整えることで改善できます。 しかし、生まれつきの歯並びの悪さなどによっては、正しい口腔ケアをしても改善が難しい場合があります。このような場合は、専門の歯科医師の治療を受ける必要があります。
生活習慣の乱れ
歯周病の原因の一つに生活習慣の乱れが挙げられます。寝不足や不規則な生活を続けると免疫力が弱まり、歯周病になりやすくなったり、悪化させたりする可能性があります。さらに、ストレスを抱え込むことも免疫力を低下させる原因です。 生活習慣の乱れは口腔の健康に影響を及ぼす重要な要素となります。充分な睡眠と規則正しい生活を心掛けることで、免疫力を高めます。ストレスを軽減するためには適切なリラックス方法や趣味を楽しむことも大切です。
歯周病の症状について
歯周病の症状には進行段階があります。以下に歯周病の進行段階について解説します。
歯肉炎
歯肉炎は歯周ポケットが2〜3mmの状態で、歯茎が赤く腫れたり、硬いものを噛むと出血したりする症状が見られます。この症状は自覚症状が少なく、気づかないうちに発症しやすい傾向があります。
軽度歯周炎
軽度歯周炎は歯周ポケットが3〜4mmの状態で、軽い出血があったり、歯肉が軽く腫れたりする症状が見られます。痛みはあまりないため、気付きにくい特徴があります。
中度歯槽膿漏
中度歯槽膿漏は歯周ポケットが4〜7mmで、1/3以上2/3未満溶けている状態です。この状態では歯茎が腫れ、歯がぐらつき、口臭がひどくなり、歯茎から膿が出ることがあります。
歯槽膿漏
歯槽膿漏は、歯周ポケットが6mm以上の深さになり、歯槽骨が3分の2以上溶けた状態を指します。この段階では、歯がぐらつき、口臭がひどくなり、膿や出血が激しくなる症状が現れます。
歯周病の予防法
歯周病にはどのような予防方法があるのでしょうか?以下に予防方法について紹介します。
ブラッシングを丁寧に正しくする
歯磨きの回数よりも重要なのは、歯垢をしっかり落とすことです。歯磨きが苦手な方や歯並びが悪くて歯垢が溜まりやすい方は、1日1回でも1本1本の歯を意識しながら丁寧に歯磨きを行いましょう。 歯周病菌は食べかすをエサにして増えるため、食後の歯磨きが良いとされています。ただし、食後すぐに歯磨きをするより、食後30分〜1時間後が良いとされています。就寝前も丁寧に歯磨きをすることで、寝ている間の唾液減少による歯周病のリスクを減らせます。 正しい磨き方は以下の通りです。
1.歯の表面を磨くときは、歯ブラシを歯に直角に当てて小刻みに動かします。
2.歯と歯の間は、歯ブラシを横にして動かすだけでなく、縦にして動かすことで磨き残しが少なくなります。歯間ブラシやデンタルフロスを併用すると効果的とされています。
3.歯と歯茎の境目(歯周ポケット)を磨くときは、歯ブラシを斜め45度にし、毛先を軽く入り込ませるように磨きます。力を抑えて丁寧に磨くことが大切です。
正しいブラッシング方法を守り、口腔ケアに注意することで歯周病予防に努めましょう。
定期的に検診に行く
歯周病予防において最も効果的なのは定期健診です。定期健診では、歯磨きのチェックだけでなく、病院でしかできない歯周病予防が行われます。
咬み合わせ調整:咬み合わせ不良は自分では気づきにくく、発見が遅れがちです。適切な咬み合わせを保つことで歯の負担を軽減し、歯周病の進行を防ぎます。
歯石取り:歯周病は早い段階で歯石を取ることが重要です。歯石を取ることで歯周病の進行を抑え、治療時の痛みや出血を軽減します。
レントゲンチェック:レントゲンを使用して歯の周囲の骨が溶けてなくなっているかを確認します。レントゲンは歯周病の発見や進行の把握に役立ちます。
規則正しい生活を心がける
歯周病と免疫は密接に関連しています。口内には様々な菌が共存しており、免疫システムが健全な状態であればバランスを保っています。しかし、体の免疫機能が低下すると、口内の細菌のバランスが崩れ、歯周病菌が増殖します。 免疫機能の低下により、歯周病菌が優位になり力を増し、歯槽骨を破壊する可能性が高まります。特に加齢とともに免疫機能が低下するため、歯周病の発症リスクが増加します。 歯周病の予防には、歯磨きだけでなく免疫機能の向上も重要です。体の免疫機能を高めることで、お口の中の細菌バランスを維持できます。健康な食事や適度な運動、十分な睡眠などの生活習慣の改善が免疫機能を支える一つの方法です。 また、定期的な運動やストレス管理、バランスの取れた食事、ビタミンCや亜鉛などの栄養素を摂取することも免疫機能を高めるために重要です。
歯周病の治療法
歯周病の治療方法にはどのような方法があるのでしょうか?以下に紹介します。
歯垢・歯石の除去
歯周病治療において、歯垢・歯石の除去が重要な手段となります。歯周ポケットから歯垢・歯石を取り除く治療を行うことで、歯周病の進行を抑えられます。 歯周治療の一環として、超音波を用いたスケーリングやルートプレーニングが行われます。超音波を使って歯垢や歯石を取るスケーリングは、高周波振動によって歯垢や歯石を剥離させる方法です。歯根を滑らかにするルートプレーニングは、歯周ポケット内の歯垢や歯石を除去し、歯根表面をなめらかに整えることで、細菌の付着を防ぎます。 歯周ポケットの改善が進み、適切な深さ(例:3mm程度)になることで、炎症や歯周病の進行を抑えられます。これにより、歯周病の進行を止めるだけでなく、再発を防ぐことも目指します。 歯周病治療においては、歯垢・歯石の除去は重要なステップであり、定期的なクリーニングや検診を受けることで、歯周病の予防と口腔の健康維持につなげましょう。専門の歯科医師による適切な治療を受けることが大切です。
外科手術
歯周病が重症化し、通常の治療法では回復が見込めない場合は、外科的な処置が必要となります。 外科手術には、歯茎を切開して歯垢や歯石を取り除く手術があります。重症化した歯周病では、歯周ポケット内に蓄積した歯垢や歯石を完全に取り除くことが難しくなっているため、手術によってこれらを根本的に除去します。 また、歯肉が増殖することにより歯周ポケットが深くなる場合は、元の健康な歯肉に戻すために歯肉を切除する手術も行われます。 さらに、重症の歯周病によって歯槽骨が吸収してしまった場合、歯周組織にあたる骨を再生する治療が行われることもあります。この手術では、歯周ポケット内に骨を再生させるための材料を用いて歯槽骨を再生します。 外科手術は、重症の歯周病に対して行われる治療法であり、専門的な知識と技術を持つ歯科医師によって実施されます。早期に歯周病の治療を受けることで、外科手術を必要とする可能性を低くし、歯や歯茎の健康を守ることが重要です。
まとめ
ここまで20代の歯周病についてお伝えしてきました。20代の歯周病の要点をまとめると以下の通りです。
- 歯周病とは歯肉(歯茎)に炎症が起こる病気である
- 20代でも歯周病になり、4人に1人は歯周病になっている
- 歯周病の原因は歯石や歯垢が残っていることあ生活習慣の悪化などがあり、予防法については正しいブラッシングや歯科医院での定期検診を行うことなどがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。