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歯周病治療は痛い?治療の前に流れを知って歯周病治療に臨もう

歯周病治療は痛い?治療の前に流れを知って歯周病治療に臨もう

もしかしてこれって歯周病?歯周病を治療したいけど痛くないか心配…という方は意外と多いのではないでしょうか。本記事では、歯周病治療の痛みについて以下の点を中心にご紹介します!

  • 歯周病の症状や原因、治療の流れ
  • 痛みを感じにくい歯周病治療
  • 歯周病にならないための工夫

歯周病治療について理解するためにもご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

歯周病の症状

歯周病の症状

歯周病の症状について解説します。

初期症状

1. 歯磨きした時に出血する 2. 歯肉が腫れている 3. 歯肉が赤みを帯びている これらの症状が見られた場合、早期に歯科医に診てもらうことが重要です。歯周病は痛みが出るのは進行した段階であり、初期段階では痛みがないため、気付かずに進行してしまう人が多いのです。 歯周病の早期治療には、プラークコントロールと生活習慣の見直しが必要です。プラークコントロールとは、口の中の細菌を減らすことで、日々の歯磨きや歯科医院でのクリーニング(PMTC)が大切です。

中程度の症状

以下のような症状がある場合、中程度の歯周病の可能性があります。

1. 歯磨きをしているときに軽く出血する
2. 歯肉が膨らんでいることが自覚できる
3. 口の中に不快な臭いがする
4. 歯がわずかに揺れる
5. 硬い食べ物を噛むのが難しくなる
6. 歯が伸びたように感じる
7. 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなる

これらの症状が現れたら、すぐに歯科医師に相談しましょう。中程度の歯周病では、症状が徐々に現れますが、痛みを感じない人も多いため、病状が進行してしまうこともあります。
中程度の歯周病の治療では、主に歯周病の原因を排除する基本的な治療が行われます。もし基本治療で症状が改善しない場合は、歯周外科治療で歯肉下の歯石を取り除き、必要に応じて歯周組織の再生治療が行われます。軽度の歯周病と比べて、中程度の歯周病の治療は時間と回数が必要になり、より複雑な治療が求められます。
中程度の歯周病と重度の歯周病の主な違いは、歯周ポケットの深さと症状の程度です。中程度の歯周病では歯周ポケットの深さが4mm〜6mmで、一方、重度の歯周病では6mm以上になり、日常生活に影響を及ぼします。歯周病は、重度に進行すると症状が顕著になるため、それまでの段階では気づかずに進行してしまうことが多いです。これが歯周病の最も恐ろしい特徴と言えます。

重度症状

以下のような症状がある場合、重度の歯周病の可能性があります。

1. 歯を支える骨が大幅に減少し、歯周ポケットが深くなり、歯が揺れて食事が困難になる。
2. 歯根には多量の歯石が付着し、歯肉が下がり、歯根が露出します。さらに、歯肉は赤く腫れ上がり、歯と歯肉の間からは膿が出てきます。
3. 目覚めると口の中が粘つき、血の味がすることもあります。口臭も強くなります。

重度の歯周病に進行すると、歯を支える骨が大きく溶けてしまい、適切に噛むことが難しくなります。
また、重度の歯周病では、歯根には大量の歯石が付着し、歯肉が下がって歯根が見えるようになります。歯肉は赤く腫れ上がり、歯と歯肉の間からは膿が出てきます。目覚めると口の中が粘つき、血の味がすることもあります。口臭も強くなります。
これらの症状が見られた場合、すぐに歯科医師に相談することが重要です。重度の歯周病は、歯を支えている骨が大きく溶けてしまい、適切に噛むことが難しくなるため、迅速な治療が必要となります。

歯周病治療の流れ

歯周病治療の流れ

ここでは一般的な歯周病治療の流れについて解説します。

歯磨きと歯石除去

まずは歯磨きと歯石除去に関して解説します。

歯磨き

歯周病治療において最も基本的なケア方法です。歯周病菌は歯垢(プラーク)に付着しているため、歯垢を適切に除去することが重要です。歯磨きの方法としては、歯ブラシを使って、歯と歯肉の境目や、奥歯の噛み合わせ面などを丁寧に磨きましょう。また、歯と歯の間もデンタルフロスや歯間ブラシなどを使い、歯垢を除去する事が大切です。歯磨きについては、歯科医師から指導を受けることが望ましいです。

歯石除去

歯石は歯垢が固まったもので、歯磨きだけでは除去できません。歯石は歯周病の原因となるため、歯石を除去することが重要です。歯石除去は、歯科医師による専門的な治療が必要となります。 歯石除去の方法としては、手動でのスケーリングと、超音波を使ったスケーリングがあります。手動でのスケーリングは、専用の器具を使って歯石を除去する方法で、短時間で行えることが特徴です。一方、超音波を使ったスケーリングは、高周波の音波を使って歯石を削り取る方法で、より深い部分まで除去できます。 以上のように、歯磨きと歯石除去は、歯周病治療において欠かせないケア方法であり、定期的に行うことで歯周病の進行を防ぎます。

修復物や噛み合わせのチェック

歯周病の進行によっては、歯を支える骨が破壊されるため、歯が抜け落ちたり、歯並びが乱れたりします。このような場合には、修復物や噛み合わせのチェックが必要になります。

修復物

歯周病によって歯が失われた場合には、その欠損部分を修復するために、インプラントやブリッジ、入れ歯などが使用されます。これらの修復物は、歯周病の進行を防止するために、適切な形状と寸法で作製される必要があります。また、修復物を装着する前に、歯周病の治療に取り組むことが重要です。

噛み合わせのチェック

噛み合わせが悪いと、歯周病の進行を促進することがあります。噛み合わせのチェックには、口腔内を直接診査する方法と歯型をとって精密に診断する方法があります。これらの検査を通じて、噛み合わせの異常がある場合には、適切な調整が必要です。
以上のように、歯周病治療においては、修復物や噛み合わせのチェックが欠かせない要素となります。歯周病治療には、個人差がありますので、歯科医師と相談しながら治療方法を選択することが大切です。

歯周外科処置

歯周外科処置は組織付着療法、切除療法、歯周形成手術、歯周組織再生療法の4つに分類されます。

組織付着療法

組織付着療法は、歯周病の治療法の一つで、歯周ポケットの中や歯根の表面についた歯周病菌や汚れを徹底的に取り除くことを目的としています。この治療により、歯肉が再度歯根に付着し、歯周ポケットが浅くなることで、細菌のコントロールがしやすくなります。 組織付着療法には、歯周ポケット掻把術やフラップ手術などの具体的な手法が含まれます。

1. 歯周ポケット掻把術:これは、歯周ポケット内の歯石や歯周病菌を取り除く手術です。特殊な器具を用いて歯根面を滑らかにし、歯肉が再び歯に密着するのを助けます。
2. フラップ手術:これは、歯周ポケットが深い場合や、歯根の形状が複雑で通常の掻把術では清掃が困難な場合に行われます。歯肉を一部切開し、歯根面や骨面を直接見ながら清掃します。

これらの治療は、歯周病が進行し、歯周ポケットが深くなった場合や、自宅でのブラッシングだけでは改善が見られない場合に行われます。組織付着療法は、適切なケアと併せて行うことで、歯周病の進行を防ぎ、口腔内の健康を維持する重要な手段となります。

切除療法

切除療法は、歯周病の治療法の一つで、病的な歯周組織を切除し、歯周ポケットを浅くすることを目的としています。これにより、プラーク(歯垢)のコントロールがしやすくなります。 切除療法には、以下のような具体的な手法が含まれます。

1. 歯肉切除術:これは、歯肉の一部を切除し、歯周ポケットを浅くする手術です。これにより、ブラッシングやフロッシングによるプラークの除去が容易になります。
2. 歯肉弁根尖側移動術:これは、歯肉を切開し、歯根尖側に移動させる手術です。これにより、歯周ポケットが浅くなり、プラークの除去が容易になります。
3. 骨整形を伴う骨切除術:これは、歯周病により破壊された骨を切除し、骨の形状を整形する手術です。これにより、歯周ポケットが浅くなり、プラークの除去が容易になります。
4. フラップ手術:これは、歯肉を一部切開し、歯根面や骨面を直接見ながら清掃する手術です。これにより、歯周ポケットが浅くなり、プラークの除去が容易になります。

これらの治療は、歯周病が進行し、歯周ポケットが深くなった場合や、自宅でのブラッシングだけでは改善が見られない場合に行われます。切除療法は、適切なケアと併せて行うことで、歯周病の進行を防ぎ、口腔内の健康を維持する重要な手段となります。

歯周形成手術

歯周形成手術は、歯周病の治療法の一つで、歯肉や粘膜、小帯の異常な形態を修正し、プラーク(歯垢)のコントロールを容易にすることを目的としています。 歯周形成手術には以下のような具体的な手法が含まれます。

1. 小帯切除術:これは、歯と歯肉をつなぐ組織(小帯)が異常に短い、または位置が異常である場合に行われる手術です。小帯が異常に存在すると、歯肉の引き下げや歯の移動、スペースの開放などの問題を引き起こすことがあります。
2. 歯肉弁根尖側移動術:これは、歯肉を切開し、歯根尖側に移動させる手術です。これにより、歯周ポケットが浅くなり、プラークの除去が容易になります。
3. 歯肉弁歯冠側移動術:これは、歯肉を切開し、歯冠側に移動させる手術です。これにより、歯肉の位置を調整し、適切な歯肉の形状と位置を確保します。
4. 歯肉弁側方移動術:これは、歯肉を切開し、側方に移動させる手術です。これにより、歯肉の位置を調整し、適切な歯肉の形状と位置を確保します。
5. 遊離歯肉移植術:これは、他の部位から歯肉を採取し、歯肉が不足している部位に移植する手術です。これにより、歯肉の厚みや幅を増やし、歯周組織の健康を維持します。

これらの治療は、歯肉の形態や性状を改善しプラークコントロールを改善させる目的で行われます。

歯周組織再生療法

歯周組織再生療法は、歯周病やその他の疾患によって損傷した歯周組織を再生させることを目的とした治療法です。この治療は、歯の支持組織を健康な状態に戻すことで、歯の安定性を向上させることを目指しています。 歯周組織再生療法には以下のような具体的な手法が含まれます。

1. 骨移植術:これは、歯周病によって失われた骨組織を再生するための手術です。他の部位から採取した骨や人工骨を使用して、損傷した部位に移植することで、骨の再生を促進します。
2. 歯周組織再生誘導法(GTR:Guided Tissue Regeneration):これは、特殊な膜を使用して歯周組織の再生を促進する手術です。この膜は、不要な組織の侵入を防ぎながら、必要な組織の成長を助ける役割を果たします。
3. 増殖因子を応用した再生療法:リグロスやエムドゲインなどの増殖因子を使用して、歯周組織の再生を促進する治療法です。これらの増殖因子は、細胞の成長や分化を促進し、歯周組織の再生を助けます。

これらの治療法は、歯周病が進行し、歯周組織が損傷した場合に行われます。歯周組織再生療法は、適切なケアと併せて行うことで、歯周病の進行を防ぎ、口腔内の健康を維持する重要な手段となります。
以上のように、歯周病治療においては、歯周外科処置が必要になる場合があります。歯周外科処置は、個人差がありますので、歯科医師と相談しながら治療方法を選択することが大切です。

痛みを感じにくい歯周病治療法

痛みを感じにくい歯周病治療法

痛みを感じにくい歯周病治療法について紹介します。

低侵襲な歯周病治療

歯周病の治療に低侵襲非外科治療(MINST:Minimally Invasive Non-surgical Therapy)という手法があります。この治療法は、歯肉を切開せずに歯肉溝からアクセスし、その狭い視野の弱点を補うために手術用顕微鏡を使用します。超音波チップとミニキュレットを併用し、スケーリングとルートプレーニングを丁寧に行います。 この治療法は、歯周基本治療の一部として行われ、その結果、低侵襲外科療法と同等の効果が得られることが報告されています。さらに、Er:YAGレーザーを用いて感染肉芽組織を除去し、骨欠損部の骨表面からの骨髄性出血を促すことで、歯周組織の再生が促進されます。 この治療法の特徴は、切らない、痛くない、組織が再生するという点です。その効果は、実際の症例を通じて明らかにされており、歯周病治療における新たな可能性を示しています。

レーザーを用いた歯周治療

レーザーを用いた歯周病治療は、歯科医療の中でも特に革新的なアプローチとされています。従来の治療法では時間がかかり、完全に治すのは困難だった歯周病も、医療レーザーを使用することで短期間での確実な治療結果が期待できます。 レーザー治療は、レーザー光を用いて細菌の数を減らし、炎症を起こしている組織を焼き取るという方法です。レーザー光には「創傷治癒促進作用」があり、傷ついた組織や細胞の再生を促進します。これにより、歯周病の再発率が低下するという特性があります。さらに、レーザーを用いて歯石を取り除くと、歯垢や歯石が再び付着しにくくなるという利点もあります。

歯周病にならないために

歯周病にならないために

歯周病にならないためにはどのようなことをするべきなのでしょうか。 以下から解説していきます。

正しく歯磨きする

歯磨きの基本は朝晩2回、歯磨きをすることです。歯垢をしっかりと取り除くことが歯周病予防の基本となります。 歯ブラシは、硬すぎないものを選び、歯ブラシの先端を歯と歯肉の境目に合わせ、ブラシの毛先を45度の角度であてて、歯ブラシを振動させるように磨きます。また、歯ブラシで磨くだけでなく、歯間ブラシやフロスなどを併用することで、歯ブラシでは届かない歯間の汚れも取り除きます。

禁煙

タバコにはニコチンやタールなどの有害物質が含まれており、これらが歯周病の原因菌の繁殖や歯肉の炎症を引き起こすリスクファクターです。そして主因子はあくまで細菌です。また、タバコに含まれるニコチンが血管を収縮させ、歯肉の血流を悪化させることで、歯周病の進行を加速させることも報告されています。 喫煙によって歯周病にかかるリスクは非常に高くなるとされています。さらに、喫煙者の歯周病は、治療が困難であることが多く、再発しやすい傾向にあるとされています。 また、禁煙によって、歯肉の血流が改善され、歯周病にかかるリスクが低下することが報告されています。禁煙によって治療効率が上がることが期待されています。

ストレスをためない

ストレスは、身体的な症状だけでなく、心理的な影響も与えます。ストレスが長期間にわたって続くと、免疫力が低下し、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱くなります。歯周病は、細菌が原因の炎症性疾患であるため、ストレスが続くと歯周病にかかりやすくなるとされています。 また、ストレスが歯周病の進行を促進するという研究結果もあります。ストレスが続くと、歯周病原菌に対する免疫力が低下し、歯周病の進行を助長することが報告されています。 ストレスをためないことは、歯周病予防のためにも重要だとされています。ストレスをためないためには、日常生活でのストレス発散方法を確立することが必要です。例えば、適度な運動や趣味に時間を割くこと、心身ともにリラックスできる環境を整えること、十分な睡眠をとることが挙げられます。

まとめ

まとめ

ここまで歯周病治療の痛みについてお伝えしてきました。 要点をまとめると以下の通りです。

  • 歯周病の治療は、組織付着療法、切除療法、歯周形成手術、歯周組織再生療法などがある
  • 痛みを感じにくい治療にはレーザー療法や超音波洗浄などの治療があり、歯周病治療における新たな可能性を示している
  • 歯周病にならないために正しい歯磨きや禁煙、ストレスを貯めないような工夫が大切

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
村野 嘉則

村野 嘉則

東京歯科大学卒業。歯学博士。日本臨床歯周病学会認定医。日本歯周病学会歯周病専門医。臨床研修指導歯科医等。
美しの森デンタルクリニック院長の村野です。歯を失う原因である歯周病の治療を専門としておりますが、歯周病は歯だけでなく、全身の健康にも被害を及ぼすのではと懸念されている疾患の一つです。各科の専門医と協力することで、「なるべく歯を残す治療」を心がけています。

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