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歯周病の治療は痛いのか?痛みの少ないケースや治療方法を紹介!

歯周病の治療は痛いのか

歯周病は、歯を失う最大の原因とされる恐ろしい病気です。それにも関わらず、罹患者が多いために、深刻に考えない人も少なくありません。さらに、歯周病について心配していても、治療が痛いかもしれないという恐れから、受診をためらう方もいます。しかし、歯周病は自覚症状が少なく、本人が気づかないうちに進行することがあるため、早期対策が必要です。大切な歯を失ってから後悔することのないよう、歯周病の治療について理解することが大切です。本記事では、歯周病の治療の流れや方法、痛みの程度などについて詳しく解説します。

歯周病治療は痛い?

歯周病治療は痛い?

歯周病は多くの人にとって身近な病気です。しかし「治療が痛いのでは?」という不安が先に立ち、気になってもなかなか受診できない方もいらっしゃるでしょう。

ここではまず、歯周病がどんな病気なのかや、治療の流れなどを解説します。

歯周病とは

歯周病は、「歯肉炎」「歯周炎」の総称で、歯を失う原因の第一位です。この病気は子どもから大人まで幅広い年代の方がかかります。最初は痛みや見た目の変化などの自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行することが多いです。知らないうちに悪化し、最悪の場合、歯が抜け落ちることもある怖い病気です。

歯肉炎とは、歯茎のみが炎症を起こしている状態を指します。歯周ポケット(歯と歯の間の溝)の深さは、約3mmほどです。この段階の症状は、歯磨きの際に出血しやすくなる程度で、歯を支えるあごの骨(歯槽骨)に炎症が広がっていません。そのため、汚れや細菌を取り除けば、健康な歯茎を取り戻せる可能性は高いです。

しかし、この炎症がさらに進行して歯周炎になると、歯と歯茎の間の溝が深くなり、膿が溜まりやすくなります。歯周ポケットの深さは、中等度の歯周病で4mm以上6mm未満、重度で6mm以上〜が目安です。

歯周病が進行すると、口臭が強くなる、歯がグラグラするなどの症状があらわれます。すると硬いものが噛めなくなったり、最終的には歯が抜け落ちる可能性があります。また、歯周病菌や菌が排出する毒素が血流で運ばれ、全身の健康状態に影響を及ぼすこともあります。

歯周病の原因

歯周病は、歯周ポケットに汚れが蓄積され、細菌が繁殖して歯茎が感染し、炎症を起こすことで発症します。

日々の歯磨きが不充分だと、歯の表面に歯垢(プラーク)が付着します。歯垢の中には、1mgあたり約10億もの細菌がいると言われています。プラークがついたままにしていると、口の中で歯周病菌が増殖し、歯周病のリスクが高まります。また、歯垢を長期間放置しておくと、石のように硬い歯石に変化します。歯石の表面はデコボコしているため、歯周病菌にとっては住みやすい環境といえます。

歯石は歯磨きでは除去できず、歯科医院で専用の器具を使って取り除く必要があります。こうしたケアを怠ることで歯垢や歯石が口の中に蓄積し、歯周病の原因となります。

歯周病治療の流れ

歯周病の治療は、その程度や症状により変わります。まず、腫れて痛みがある場合は歯周病治療に入る前に、抗生物質や鎮痛剤の服用を行います。膿がたまっている場合は切開して膿を出すこともあります。その後、歯周ポケットを洗浄し、抗生物質の軟膏を注入することもあります。

腫れが治まったら、歯周病治療を開始します。軽度な場合は、歯と歯茎の間のクリーニングなどが中心です。軽度の歯周病の段階であれば、汚れや細菌を取り除くことで、健康な歯茎を取り戻せる可能性は高くなります。

一方、歯周病が進行していると、クリーニングだけでは対応できない場合もあります。この場合は歯を削って噛み合わせの調整や、抜歯や歯茎の外科手術を行うこともあります。

歯周病治療の方法ごとに痛みの強さを解説

歯周病治療の方法ごとに痛みの強さを解説

ここでは、治療方法ごとの痛みの程度について解説します。なお、痛みの感じ方には個人差があるため、留意してください。

基本治療

まずは比較的軽度な歯周病の際に行われる、基本的な治療で発生する痛みについてです。

・プラークコントロール
プラークコントロールは、歯垢(プラーク)の除去と口内環境の維持を目指す治療です。ここでの目標は、単に「歯磨きによって口の中を清潔にすること」以上に、口腔内に蓄積されたプラークをゼロにする「プラークフリー」の状態を確立することです。

プラークコントロールには、コントロール(管理)という言葉が示す通り、すでに付着している歯垢を取り除くだけでなく、新たに形成される歯垢を防ぐことも含まれます。基本的には、歯磨きによる歯垢や細菌量の減少方法を学ぶことがメインなので、痛みはほとんどありません

・スケーリング
歯垢は2日間同じ場所に滞留すると、硬い歯石に変化します。そうなると、歯ブラシの毛先だけでは取り除けなくなります。そのため「超音波スケーラー」を使用して超音波で歯石を砕くか、「ハンドスケーラー」を用いて手動で歯石を取り除く必要があります。これがスケーリングです。

スケーリングを行うと、歯茎が圧迫されたり、チクチクとした痛みを感じることがあります。とくに、歯周ポケット内の歯石を除去する際には、歯茎の深い部分に触れるため、痛みが増すことがあります。歯茎に炎症がある場合は、痛みをより強く感じることもあります。

また超音波スケーラーは、水を噴射しながら歯石を取るため、しみる場合があります。

・ルートプレーニング
ルートプレーニングは、細菌により汚染された歯根の表面を、器具を使って滑らかにする治療です。主に、中等度の歯周病で行われます。

歯のうち、目に見える部分を「歯冠」、歯茎の中に埋まって見えない部分を「歯根」といいます。歯根は全面をセメント質に覆われていますが、これは細菌によって汚染されやすい特徴を持ちます。

ルートプレーニングでは、歯の根(ルート)をなめらかに(プレーニング)する治療です。多くの場合、スケーリングによって歯石を取り除いた後、ルートプレーニングで汚染セメント質の除去と歯根表面をなめらかにする作業を行います。この治療によって歯周ポケットの改善を促し、歯垢が溜まりにくい状態にします。歯茎の中に器具を挿入するため、少し痛みを感じる場合があるでしょう。

スケーリングとルートプレーニングを合わせて、SRPと略されることが多いです。

・不良補綴物のやり直し
補綴物は詰め物(インレー)・被せ物(クラウン)、入れ歯、ブリッジ、インプラントなど、歯を補う人工物を指します。一方で不良補綴物(ふりょうほてつぶつ)とは、歯にフィットしていない詰め物や被せ物のことです。これが虫歯や歯周病の発症・進行の原因となることがあります

歯と被せ物の間に隙間があると、そこから細菌が侵入しやすくなります。また汚れが溜まり、虫歯の再発(二次カリエス)や歯周病が起こりやすくなります。とくに、保険診療で使用する銀歯の場合、隙間が生じやすく、虫歯再発のリスクも高いと言われています。

不良補綴物のやり直し自体には、特別な痛みはありません。ただしもう一度型を取り、再度歯科医院に来院する手間と負担がかかります。

・嚙み合わせの調整
噛み合わせが悪いと、歯周病を悪化させる可能性があります。そのため、状態によっては歯を削って調整します。

歯を削るため、クリーニングよりは痛みが出やすいです。しかし虫歯治療と違い、表面だけを削るため、痛みはそれほど強くありません。

外科治療

次に、歯周病が原因で外科治療を行った場合の痛みについて解説します。

・フラップ手術
フラップ手術は、スケーラーなどを使用しても歯石が取り除けない場合に行う手術です。歯の周りの歯茎を切り開き、目で確認しながら歯茎の深部にある歯石や汚れを除去します。

歯根の先まで見える状態にすることで、細菌や歯石など歯周病の原因となる汚れを徹底的に除去します。

手術は主に、
-麻酔
-歯茎の切開
-歯根に付着した汚れの除去
-根面をなめらかにして歯茎を戻す
-縫合

という流れで行われます。麻酔や切開を伴うため、上で紹介した基本治療に比べると痛みは強くなりやすいです。

しかし現在では、歯茎に表面麻酔を使用した上で麻酔注射を行うため、痛みは軽減されています。また、注射針が以前より細くなるなどの器具の進歩もあり、治療時の痛みは大幅に減少しています。

痛いときは素直に「痛い」と歯科医師に伝えることで、痛みを軽減する対策を取れることもあります。恥ずかしがらずに、痛い場合はきちんと伝えることが大切です。

・歯周組織再生療法
歯周病で歯を支えている骨が溶けてしまった場合、歯根面に付着した汚れを徹底的に除去したとしても、骨まで元通りにすることは難しいでしょう。ですが、手段がないわけではありません。壊れてしまった歯周組織を再生する「歯周組織再生療法」という治療法があります。

歯周組織再生療法にはさまざまな手法がありますが、ポピュラーなものにGTR法、エムドゲインまたはリグロス、骨移植があります。

・GTR法
骨が溶けた部分に特殊な膜を設置し、その下で歯周組織の再生を促す方法です。

・エムドゲインまたはリグロス
歯が生えてくる時と同じ環境を作り出し、歯周組織再生を促します。具体的には、治療部位を切開し、プラークや歯石などを除去した後にエムドゲイン・ゲル(たんぱく質の一種)またはリグロス(細胞を活性化させる成長因子)を歯根の表面に塗り、縫合します。エムドゲインとリグロスはどちらも歯周組織を成長させる因子で、歯周組織の再生を手伝ってくれます。

・骨移植
自身の口内から骨や血液を採取あるいは厚生労働省が認可した人工的に作製した骨もしくは牛の骨を失われた部分に移植して歯周組織を再生させる方法です。

いずれも切開を伴う外科処置ですが麻酔が効いていれば多くの場合、痛みはほとんどありません。また、術後もしばらくは痛みや違和感が続くことがあります。

歯周病の治療後は痛い?

歯周病治療の方法ごとに痛みの強さを解説

せっかく歯周病の治療を行っても、治療後に痛みを感じるケースもあるようです。治療後に痛みが出る理由と、痛みがある場合はどうしたらいいかを解説します。

歯周病の治療後に痛みがある理由

・歯がしみやすくなるため
とくに歯石などの汚れが多く付着している方は、歯周病の治療後に歯がしみやすくなるようです。

クリーニングによって多量の歯石を除去すると、今まで隠れていた歯の根の部分が露出します。エナメル質(歯の白い部分)は口の中でも一番硬い組織で覆われていますが、歯の根の部分は「セメント質」という組織がむき出しになっています。この象牙質には「象牙細管」という目には見えない細い管が通っており、歯石除去により露出したセメント質から、歯の中の神経に刺激が伝わりやすくなります。このため、治療後に歯がしみてしまうのです。

治療後数日経てば落ち着くことがほとんどなので、しばらく様子を見ましょう。

・歯茎の炎症が強かったため
歯石が多いと、その分細菌が増殖します。すると、歯を磨くだけでも歯茎に強い痛みを感じるような炎症が起こることがあります。そういった場合は、治療後にもしばらく痛みを感じる可能性があります。

しかし、炎症の原因となる歯石を除去すれば、数日後には歯茎が引き締まってきます。自然と痛みも引いてくるはずです。

いずれの場合も、数日様子を見ることで痛みは落ち着いてくることがほとんどです。しかし数日経っても痛みが引かない、発熱などの体調不良に陥る場合は、早めに歯科医師に相談することをおすすめします。

歯周病の予防方法

歯周病治療の方法ごとに痛みの強さを解説

歯周病は身近な病気で、誰にでもなる可能性があります。しかしケアをしっかりと行えば、ある程度予防することが可能です。ここでは、歯周病にならないための予防方法を紹介します。

正しい歯磨き

歯周病の予防において、重要なのは正しい歯磨きです。歯石は、セルフケアで除去できませんが、歯の表面や歯と歯の間についている歯垢は歯磨きによって取り除けます。やわらかい歯垢も細菌の塊なので、これを取り除くことで炎症を抑え、歯周病リスクを下げることが可能です。

さらに、殺菌成分の入った洗口剤や歯磨き粉を併用すれば、炎症をより抑えることができるでしょう。

歯間ブラシやフロスなどの使用

歯ブラシだけでは歯の表面しか磨けず、歯周病の予防には不十分です。歯ブラシの毛先が届かない部分をケアするために、フロスや歯間ブラシなどの補助用具を併用しましょう。

フロスは歯の側面を、歯間ブラシは歯の根元のすき間を掃除するための道具として使用します。

歯科医院での定期的なクリーニング

歯磨きで落としきれなかったプラークがやがて歯石になり、歯周病菌が繁殖しやすい環境を作ってしまうことは上でも触れました。歯石は歯磨きなどのセルフケアでは取り除くことができず、歯科でのメンテナンスが必要となります。

歯の痛みや水がしみるなどの自覚症状がなくとも、定期的に歯科医院に行ってクリーニングを行い、歯石を溜めないことが大切です。

生活習慣の改善

年齢を重ねると歯茎が弱くなり、免疫力が低下するため、歯周病になりやすくなります。とある調査によれば、30代以上の3人に1人が歯周病であるといわれています。異常がなくても、定期的に歯科健診を受けることが重要です。

また、ストレスや喫煙をはじめとする不健康な生活習慣、糖尿病などの疾患も、免疫力を低下させる原因になります。結果として、歯周病の進行を早める場合もあります。このため、生活習慣を改善することでも、歯周病の予防につながります。

まとめ

まとめ

ものを食べているとき、歯磨きをしているとき、誰かと話をしているとき、ふと歯周病についてよぎることがあるかもしれません。しかし、「気になるけど、治療が痛いのでは?」と、受診するタイミングを逃すと気づかないうちにどんどん病状が進行する可能性もあります。

歯周病には段階があり、軽度であれば、治療の際に生じる痛みはそう強いものではありません。気になることがあれば、すぐに相談に行くことをおすすめします。

参考文献

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