「歯茎から出血するけど、ストレスが原因かなあ…」と、ストレスのせいにして歯の検査を疎かにしていませんか。
実は、ストレスを直接の原因として歯茎から出血することはありません。歯肉炎や歯周病を患っていて、その症状がストレスで悪化している可能性が高いです。
歯肉炎や歯周炎を放っておくと、歯がグラグラになり自分の大切な歯がなくなってしまう恐れがあります。
歯茎からの出血が見られたら、早めに歯科医院に受診するといいでしょう。
そこでこの記事では、歯茎の出血とストレスとの関係性や、出血する原因・出血を抑える方法・歯科医院へ行くべき症状について解説します。
この記事を参考にして、もう一度自分の歯と向き合ってみてください。
歯茎の出血はストレスが原因?
結論からいうと、歯茎から出血する原因はストレスではありません。歯茎の出血は、出血の症状が起こる歯の病気を患っているために起こるからです。
例えば、歯周病になると歯茎がプクッと腫れて出血することがあります。歯周病は歯垢を放置して歯周病菌が繁殖することで発症する病気です。
ストレスで体調が悪くなると、歯周病菌が活発に働き症状を悪化させることがあります。
歯周病にかかっていることに気づかない場合は、急に出血すると「ストレスが原因ではないか」と感じてしまうでしょう。
その他にも、ストレスが原因で歯ぎしりがひどくなったり、タバコの本数が増えたります。
歯ぎしりがひどくなると歯や顎の骨に負担がかかってしまうため、歯茎など歯周組織に影響が出て歯周病にかかりやすいです。
また、タバコの中に含まれる化学物質は見た目上歯茎の出血や腫れを抑える作用があります。歯周病を患っていることに気付きにくく、知らないうちに進行してしまうでしょう。
このように歯茎の出血は、ストレスが直接の原因になるわけではありません。しかし、間接的にストレスが原因となり、歯茎から出血することは十分に考えられます。
歯茎から出血する原因
歯茎から出血する原因は主に2つの病気が考えられます。
- 歯肉炎
- 歯周炎
歯肉炎とは歯肉に炎症を引き起こした状態で、歯周炎とは歯肉炎が悪化して歯槽骨(歯を支える骨)を溶かし歯がグラグラになってしまう状態のことです。
歯肉炎と歯周炎を総称して歯周病と呼びます。
歯肉炎とは、字のとおり歯肉(歯茎)に炎症を引き起こす病気です。「歯茎が赤く腫れる」・「歯茎から出血する」・「歯茎から膿が出る」などの症状があります。
健康な歯茎は、色はサーモンピンクで歯と歯の間に綺麗な三角形を描いていて引き締まった状態です。
歯肉炎を引き起こすと、色は赤くなりプクッと腫れぼったい形状になります。歯磨きをすると出血しやすくなり、痛痒く感じることもあるでしょう。
主な原因は、「免疫力の低下」・「偏食」・「不十分なブラッシング」が挙げられます。健康な体づくりと正しい歯磨きが大切です。
歯肉炎を引き起こし長期間ほったらかしにすると、歯周炎に発展します。歯周炎が重症化すると歯が抜け落ちてしまう恐れもあるため注意が必要です。
歯肉炎は発症してもしっかりと対処すれば改善されます。悪化する前に適切な治療やメンテナンスを行いましょう。
歯周炎とは、重症化した歯肉炎です。歯肉だけではなく周囲の歯槽骨も溶けてしまいます。歯茎が赤く腫れて出血を起こし、歯がぐらつくようになります。口臭が発生するのが特徴です。
目に見える範囲ではなく、歯と歯茎の間にできた歯周ポケットの奥に歯垢や歯石が溜まるようになると歯周炎と診断されるでしょう。
通常の歯磨きでは綺麗にできないため、歯科医院で適切な治療を受ける必要があります。場合によっては、歯茎を切開して歯垢や歯石を取り除くような外科的処置が必要です。
歯周炎は歯肉炎が悪化して起こる症状ですが、重度の歯肉炎の症状がなくても歯周炎を引き起こす可能性もあります。
歯と歯茎の間の歯周ポケットで細菌が増殖し、歯を支えている歯槽骨が破壊されることで歯がグラグラになり抜け落ちてしまうのが特徴です。
成人が歯を失う主な原因のひとつになっており、高齢者では最大の原因となっています。
歯周炎になると歯を失う可能性があるため、歯茎の異常が見られたらすぐに歯科医師の診察を受けましょう。
歯肉炎・歯周炎になりやすい方
歯肉炎や歯周炎になりやすい方は次の5つが当てはまる方です。
- 歯磨き不足
- 間食が多い
- 歯ぎしりなどの癖
- 食生活の偏り
- 喫煙習慣
歯肉炎・歯周炎は歯を常に綺麗にしていればかかる可能性は低くなります。間食が多くなると、歯磨きを十分に行えないためメンテナンス不足となるでしょう。
また、歯ぎしりのような歯に負担がかかる癖がある方や、食生活が偏り歯に負担のかかる成分を多く摂取する方も注意が必要です。
タバコに含まれている化学物質は見た目上歯茎からの出血や歯茎を引き締める働きがあるため、歯肉炎・歯周炎にかかっていても気付きません。
知らない間に煩い、どうしても処置が遅れてしまうので重症化しやすくなります。
歯磨きが不足しがちな方は、歯肉炎・歯周炎になりやすいため注意しましょう。歯肉炎・歯肉炎の原因は歯や歯周ポケットに残った歯垢によるものだからです。
歯垢を放置するとやがて硬くなり歯石となります。歯石になってしまうと歯磨きでは除去できないため、歯科医院での適切なメンテナンスが必要です。
歯垢や歯石が残ったままだと、細菌が繁殖し歯肉炎・歯周炎の原因となります。歯磨き不足は細菌の繁殖を促すことになるため、適切な歯磨きが重要です。
間食が多い方は、歯肉炎・歯周炎に注意しましょう。間食が多いと歯磨きが不十分になり、歯垢が溜まりやすくなるからです。
間食とは、通常の食事と食事の間に食べるおやつ(甘い食べ物)などを指します。間食後にすぐに歯磨きをする人も少なく、歯磨きが不十分になるでしょう。
また、甘い食べ物に含まれる糖分を摂取すると、歯垢に含まれる細菌が酸を生み出します。通常であれば、唾液がこの酸を中和してくれるため口の中は正常です。
しかし、間食により摂取する糖が増えると、酸を中和させる唾液の分泌が追いつかず正常に保てなくなります。
正常に保てなくなると、虫歯や歯肉炎・歯周炎の原因になるため注意が必要です。
歯ぎしりなどの癖がある方は、歯肉炎・歯周炎に注意が必要です。
歯ぎしりは直接的に歯肉炎や歯周炎の原因にはなりません。しかし、歯周炎が進行して歯を支えている歯槽骨が少なくなってしまうと歯ぎしりによって歯に力が加わり、歯根や歯槽骨に負担をかけて骨が吸収される恐れがあります。
骨が吸収されると歯茎が垂れ下がり歯周ポケットができるため、細菌の住処になるでしょう。
また、歯槽骨が吸収され歯茎が垂れ下がってしまうと、歯が抜け落ちる危険性もあるので注意が必要です。
歯ぎしりや食いしばりは自分ではコントロール出来ない部分がありますが、マウスピースなどの歯ぎしり防止装置の装着・薬の投与など適切な治療があります。
歯ぎしり、食いしばりでお悩みの方は、歯科医院で相談してみましょう。
偏った食生活の方は、歯肉炎・歯周病に注意しましょう。間食と同じように、糖の摂取が増えてしまうからです。
例えば、揚げ物やお米・パンなど炭水化物が多い食事をすると糖の摂取量が増えてしまいます。糖は歯垢に潜む細菌によって口の中を酸性に変えるのが特徴です。
口の中が酸性に偏ると、虫歯に罹患しやすくなります。同様に、歯周病の原因細菌の活性化にもつながるため、歯肉炎や歯周炎を誘発する可能性も高いです。
また、歯肉炎や歯周炎は糖尿病などの生活習慣病とも関連しています。食生活の乱れは生活習慣病を誘発するため、なるべく健康的な生活を心がけるといいでしょう。
喫煙の習慣がある方は、歯肉炎・歯周炎に注意しましょう。喫煙習慣がある方は、歯肉炎・歯周炎を発症していることに気付きにくいからです。
タバコに含まれる化学物質は、見ため上歯茎からの出血を抑えたり歯茎を硬く引き締めたりする働きがあります。
気付いた時点で、歯周炎が悪化した状態になっている可能性もあるため注意が必要です。
また、タバコを吸うと血液の流れを悪くします。その結果、見ため上歯茎の血流も悪くなり、酸素不足や栄養不足を起こして免疫が働きにくくなるでしょう。
免疫が落ちると歯肉炎や歯周炎になりやすくなるばかりか、発症した際に進行を促進し治療しても治りにくくなります。
喫煙習慣は歯肉炎・歯周炎の危険因子といえるので、注意しましょう。
歯茎からの出血を抑える方法
歯茎からの出血を抑える方法は次の4つです。
- ストレスを発散する
- 睡眠不足の解消
- バランスの良い食事をする
- ブラッシングを見直す
歯茎から出血する場合は、心身ともに健康な状態にすることが大切です。身体が弱っていると免疫が下がり、歯肉炎や歯周炎の進行を促進してしまうからです。
また、口の中を清潔に保つことが大切なため、歯磨きをしっかりと行いましょう。
歯茎からの出血を抑えるには、ストレスを発散するようにしましょう。ストレスが溜まると、口の中の唾液の分泌が少なくなり細菌の増殖を促してしまうからです。
ストレスが大きいと交感神経が働きます。その場合、ネバネバとした唾液が分泌されるのが特徴です。
一方で、ストレスがかかっていない場合では副交感神経が働き、水分を多く含んだサラサラの唾液が出ます。
そのため、口の中が潤った状態になり、細菌の増殖を防いでくれるでしょう。
また、ストレスによって、歯ぎしりがひどくなったり食いしばりの力が強くなったりします。歯に余計な力が加わることは、歯肉炎や歯周炎を悪化させる原因です。
このようにストレスは免疫を下げたり歯に悪い影響を与えたりするため、できるだけ発散することで歯茎の出血や歯肉炎・歯周炎の悪化を防いでくれるでしょう。
歯茎からの出血を抑えるには、睡眠不足を解消するといいでしょう。睡眠が不足すると、免疫力を下げてしまうからです。
歯茎から出血するということは、歯肉炎か歯周炎にかかっている可能性があります。免疫力が低下すると悪化するリスクが高くなります。
まずは、日々の睡眠時間を見直して、健康的な体を取り戻すことを心がけましょう。少なくても6〜8時間は寝る時間を確保してみてください。
また睡眠時間が取れていても、睡眠不足になっている可能性があります。睡眠時間だけではなく睡眠の質も重要です。
普段使っている寝具が自分にあっていない可能性もあるため、寝具を見直すのもいいでしょう。
歯茎からの出血を抑えるには、バランスの良い食事を心がけましょう。免疫力の低下は、普段の食事が影響している可能性があるからです。
免疫力が低下すると、歯肉炎や歯周炎を悪化させる可能性があります。普段の食事でしっかりと栄養が取れているか見直すことも大切です。
また、炭水化物に偏った食事は糖の摂取量を増やす原因になります。糖は口の中を酸化させる働きがあるため、歯肉炎や歯周炎に対して悪影響です。
バランスの良い食事をして、健康的な身体作りを心がけましょう。
歯茎からの出血を抑えるには、普段のブラッシングを見直す必要があります。出血の原因となっている歯肉炎・歯周炎は、歯垢が残っていることで発症するからです。
毎日口の中を清潔に保っていれば、歯垢が溜まって歯肉炎や歯周炎になる事はありません。きちんと歯を磨いているつもりでも、磨けていない可能性が高いです。
歯茎からの出血が気になる場合は歯科医院で適切な検査を受け、正しい歯磨き方法を教えてもらいましょう。
また、歯周ポケットが深くなると一般的な歯磨き方法では歯周ポケットの奥まで綺麗にすることはできません。
歯科医院で定期的なメンテナンスを受けることで、清潔な歯を保てるようになります。根気よく治療を継続することが大切です。
歯茎の出血で歯科へ行くべき症状
歯茎の出血で考えられる原因を取り除いても改善されない場合は、歯科医院へ受診するようにしましょう。
次に紹介する症状がある場合は、早めに歯科医院の診察を受けてみてください。
- 歯茎からの出血が継続する
- 歯茎がブヨブヨしている
- 歯茎が痛む
- 口臭を指摘されることが増えた
- 歯が長くなった気がする
- 歯がグラグラする
上記の症状は歯肉炎が悪化した際の症状です。歯茎が痛んだりブヨブヨしたりする場合は、歯茎の中に膿が溜まっている可能性があります。
また、歯肉炎がひどくなり膿が溜まり出すと、口臭が発生するのが特徴です。「最近、口臭が気になる」という方は歯科医院の診察を受けましょう。
さらに「歯が長くなった気がする」「歯がグラグラする」といった症状がある場合は、すでに歯槽骨が吸収されている可能性があります。
放っておくと歯が抜けてしまう恐れがあるため、早急に歯科医院の診察を受けてください。
まとめ
歯茎の出血とストレスとの関係性や、出血する原因・出血を抑える方法・歯科医院へ行くべき症状について解説しました。
ストレスによって急に歯茎から出血することはありません。しかし、ストレスによって間接的に歯茎から出血するような病気を悪化させることは考えられます。
歯茎からの出血が確認された場合は歯肉炎・歯周炎の可能性があるため、早めに歯科医院の診察を受けるようにしましょう。
また、普段からしっかりと歯磨きをしていても、正しい歯磨きができておらず歯肉炎や歯周炎にかかっている可能性があります。
毎日歯磨きをしているのに出血する場合は、歯科医院の診察を受けて正しい歯磨きを指導してもらってください。
歯肉炎・歯周炎は生活習慣病と関係があります。規則正しい生活や栄養バランスの良い食事をして、健康的な身体づくりを心がけていきましょう。
参考文献