歯と歯ぐきの間の溝の歯周ポケットが深くなると、歯周病になってしまいます。
歯周病を予防するには、歯周ポケットが深くなる前に歯科医院で治療を受けることが大切です。今回は歯周ポケットとは何か、治し方はあるのかといった疑問に答えていきます。
歯周ポケットの深さの目安や歯ブラシによる掃除の方法なども解説するので、ぜひ参考にしてください。
歯周ポケットとは?
- 歯周ポケットとはどういったものですか?
- 歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの間にある溝のことを指します。正確には歯肉溝といい、健康な人だと深さは1~2mm程度です。 歯肉溝にプラーク(歯垢)がたまると炎症を起こして溝が深くなり、やがて歯周病に発展します。歯周病になると歯槽骨という歯を支える骨が溶けてしまい、歯が抜け落ちます。
- 歯周ポケットは何mmが正常ですか?
- 歯周ポケットは、3mm以内が正常な値です。健康な人だと深さは1~2mm程度、初期の歯周病は4~5mm、重度の歯周病になると6mm以上の深さに達します。歯肉溝は誰にでも存在するため、3mm以内であれば問題はありませんが、4mm以上になると歯科医院で治療を受ける必要があります。 歯周ポケットの深さは自分で測定することはできません。歯科医院では歯周プローブと呼ばれる機器を使用する「プロービング検査」で深さを測定し、症状に応じた適切な治療を行います。
- 歯周ポケットが深いとどうなりますか?
- 歯周ポケットが深いと歯石やプラーク(歯垢)がたまりやすくなり、炎症を引き起こし歯周病になるリスクが高まります。炎症が歯ぐきで留まっている状態を歯肉炎といい、炎症が歯ぐきを超えて顎の骨や歯根膜まで達すると歯周病になります。 歯肉炎になると歯ぐきが赤く腫れ、歯磨きをしているときに出血することも。さらに歯周病へと進行すると膿が出たり歯がグラグラしたりすることがあり、歯槽骨が溶けると歯が抜け落ちてしまうため注意が必要です。
- 歯周ポケットは口臭の原因になりますか?
- 歯周ポケットが深くなり歯周病になると、口臭を引き起こす原因になります。歯周病になると歯ぐきから膿が出たり、口臭の原因である硫化水素やメチルメルカプタンが発生したりします。 歯周病が原因の口臭は、生ごみのような悪臭であることが特徴です。口臭をセルフチェックするのは困難ですが、家族などに頼んでチェックしてもらいましょう。
歯周ポケットの治し方
- 歯周ポケットは治りますか?
- 3mm以下の健康な状態であれば、歯磨きをすることで歯肉炎や歯周病の予防につながります。ただし、歯石は歯磨きでは除去できないため、定期的に歯科医院で歯石取りをしてもらうことをおすすめします。 4mm以上の深さになると、歯科医院での治療が必要です。治療法は深さによって異なりますが、SRPや歯周ポケット掻爬術、フラップ手術などさまざまな治療方法があり、深さや状態に合わせて治療してもらえます。
- 歯周ポケット検査について教えてください。
- 歯科医院では、プロービング検査で歯周ポケットの深さを測定できます。プロービング検査では、プローブという目盛りが付いた金属製の器材を使用します。歯肉の入口からプローブを挿入すると、mm単位で深さの測定が可能です。 重症の歯周病になると10mm以上の深さになることがあり、この場合はエックス線検査で歯槽骨の状態を確認します。
- SRPとはどのような治療法ですか?
- SRPとは、歯周病の原因になるプラーク(歯垢)と歯石を取り除く治療法です。スケーリング(SC)で歯石を取り除き、ルートプレーニング(RP)で歯根面を滑らかにします。スケーリングとルートプレーニングは連携して行うことが、SRPと呼ばれる由来です。スケーリングではスケーラーという器材を使って歯石やプラーク(歯垢)を落とし、ルートプレーニングで歯根面を滑らかにすることで、プラーク(歯垢)がたまりにくい状態にします。 なお重度の歯周病は、歯ぐきを切開してからSRPを行うことがあります。これがフラップ手術という治療法です。
- 歯周ポケット掻爬術とはどのような治療法ですか?
- 歯周ポケット掻爬術(ししゅうポケットそうはじゅつ)とは、歯ぐきに麻酔をして歯周ポケットの炎症を起こしている組織を除去する治療法です。歯の表面のエナメル質に付着している汚れも取り除けます。汚れや炎症を起こしている組織を取り除いて清潔にすることで、歯周病になりにくい環境にすることが期待できます。 歯周ポケット掻爬術が行われるのは、深さが4mm程度の症状が軽い歯周病が対象です。重度の歯周病の治療では、歯肉剥離掻爬手術(フラップ手術)が行われます。
歯周ポケットの掃除方法
- 歯周ポケットの掃除は歯科医院でしてもらえますか?
- 歯科医院では歯石除去や歯のクリーニングを行っており、歯周ポケットの掃除が可能です。歯科医院の定期検診を受けると掃除ができるため、とくに異常がない場合も3カ月に1回のペースで定期検診を受けることをおすすめします。 なお、歯周病を防ぐには毎日の自宅でのケアも大切です。正しい方法で歯磨きをすることで歯周病は予防できます。歯科医院では歯磨き指導も行っており、正しい歯の磨き方がわかるようになるでしょう。
- 歯周ポケットの歯磨きに適した歯ブラシはありますか?
- 毛先が超極細の歯ブラシを使うと、歯周ポケットを効率よくブラッシングできます。毛先が超極細であれば、歯と歯ぐきの間に無理なく入り込み、たまっている汚れをかき出せます。一般的な歯ブラシの毛先は0.2mm程度ですが、超極細だとわずか0.01mm程度です。 なお歯ブラシを選ぶ際は、ヘッドのサイズが自分の口の大きさに合っているものを選びましょう。ヘッドは小さめの方が汚れを落としやすいです。毛は硬すぎず柔らかすぎないものを選んでください。
- 歯周ポケットの歯ブラシの当てかたを教えてください。
- 歯ブラシを45度の角度で歯と歯ぐきの間に当てると、プラーク(歯垢)の除去と歯ぐきのマッサージができます。丁寧に優しく磨くことを意識して、力をあまり入れすぎないようにすることがポイントです。 食事をしてすぐの状態で歯磨きをすると歯が削られやすいので、食後30分~1時間程度経ってから磨くようにします。また、就寝中は歯周病になりやすい環境になるため、就寝前はとくに丁寧に磨きましょう。
- 歯間ブラシやフロスは使用した方がいいですか?
- 歯間ブラシやフロスを使用すると、プラーク(歯垢)を落としやすくなります。口臭の予防にもつながるため、歯間ブラシやフロスの使用はおすすめです。なお、歯間ブラシやフロスは歯磨きを行ってから使用するようにしてください。就寝前に歯間ブラシやフロスを使用すると、歯周病の予防に貢献します。
編集部まとめ
歯周ポケットは歯と歯ぐきの間にある溝で、正常な値は2~3mm程度です。4mm以上になると歯周病の可能性が高いので、歯科医院で治療を受ける必要があります。 歯科医院では、プロービング検査で深さを測定し、SRPや歯周ポケット掻爬術などで治療を行います。正しい方法で歯磨きをすることで歯周ポケットの掃除を行い、日頃から予防に努めましょう。また歯周病を防ぐには、3カ月に1回のペースで歯科医院で定期検診を受けるのもおすすめです。